死化粧とは?
亡くなられた方の体(ご遺体)に、メイキャップを施すことをいいます。ただ遺体に化粧をするだけではなく、冥界へ旅立たれる故人を、清らかな美しい姿で送るために行います。
遺体といっても、それぞれに亡くなられた経緯があり、最期まで安らかに永眠された方もいれば、そうではなく、辛い最期を迎えてしまわれた方もいるのです。そのため、通夜や葬儀において、遺族や参列者の方々が柩で眠っている故人を見て、生前と変わらぬお姿で旅立たれたという印象を持っていただくことが最良なのです。
化粧は勿論ですが、髪型もきちんと整え、伸びた爪も切り、男性の場合、髭が伸びていれば髭も剃り、まるで生きていて眠っているようなお姿を演出することが、故人の尊厳を保ってあげることであり、遺族が満足して故人の旅立ちを見送ることに繋がるのです。なかには大変苦しいご病気や、大事故で亡くなれた方に対する、表情を生前のお顔とわかるように処置することも必要なケースもあります。
服装については、白装束や浴衣のイメージが強いと思われますが、生前に故人がお気に入りだった服を着せる場合もあったりしますし、信仰していた宗教とその宗派にもよる部分が大きく影響します。最近では故人の好みを優先させる傾向が強いようです。
死化粧の豆知識:エンゼルケア
死化粧(エンゼルマイク)も含めて、ご遺体の処理と総合的なケアを行うのがエンゼルケアです。現在ではこのエンゼルケアと呼ばれる、死後の処理は病院の看護師や、葬儀社などの業者が行うことが多いようです。
これは時代の流れも深く関係しており、昔はご自宅で最期を迎える方が多く、その後のケアは残されたご家族が行っていました。その頃に行われていたのが、乳児にも行う沐浴で、遺体の場合では納棺の前の湯灌という、遺体の体を洗ってお清めする儀式のようなものです。しかし、現代では病院で最期を迎える場合が主流となっており、家族や親族の手による湯灌を行うことは、衛生的なことを考慮した上でも少なくなってきており、より美しい状態を保てるという意味においても、病院の看護師や葬儀社など、専門業者によるエンゼルケアを施してもらうことが、故人、家族双方においても合理的選択といえるでしょう。
ただし、宗教的な理由で湯灌を行うこともあります。もともと儀式としての湯灌は宗教の意味あいがあり行われていたもので、この場合は信仰的都合と、遺族の心の問題も配慮すべき問題であり、エンゼルケアも、湯灌の儀式も、どちらが良いのかは必ずしも第三者が決められるものではありません。