公証人とは?
公証人は、公証人役場にて、公正証書の作成を行ったり、確定日付を付与したり定款などの私署証書に認証を行う、権限を持った公務員のことをいいます。
公証人となる人は、その多くは司法資格を有しており、三十年以上という長い期間、判事や弁護士、裁判官、検察官といった法律実務に従事することで、豊富な経験と高い法的知識を持ち、なお且つ、公募に応じた者の中から、法務大臣が選び任命されて決まります。また公証人は70歳が定年となっています。
公証人の仕事は、国民が基本的に持っている権利や義務に関して、その法律関係を明らかにすることで、予測できるトラブルを予防する役割を担っています。その意味からも公証人は高度な法律の知識が必要となり、またあくまでも中立で公平・公正という立場でなければいけません。
しかし公証人は国などから給料や補助金などの支給はされません。依頼者から得た手数料の収入によって事務を運営する形式をとっており、手数料制の公務員と呼ばれています。
2018年1月時点で公証人役場は全国で約300箇所存在し、公証人は約550名います。
公証人の具体的な仕事で、私たちが一番身近に関係するものとしては、遺言書の作成があります。遺言書を作成するにはいくつかの方法がありますが、公証人に依頼をして公正証書遺言を作成してもらうというやり方が、最も確実であるといえます。
全て自分で書いて残す遺言のことを自筆証書遺言といいます。これは費用もかかりませんし、いつでも誰でも(15歳以上)始められ手軽です。この遺言書が有効であるためには、本人の自筆であること、本人が15歳以上であること、家庭裁判所に検認をしてもらうことくらいで、とても簡単です。ただその簡単な分、偽造される危険性も高いということも想定しておかなければなりません。
公正証書遺言は、遺言者本人に代わって、公証人にその内容を書いてもらうというものです。法律のスペシャリストが内容の確認をしてくれるため、その遺言の正確性が保証がされているわけですし、改ざんなどという心配もありません。
ただ自筆遺言とは違って、時間がかかってしまうということや、2名以上の証人が必要であること。そして費用ももちろんかかります。
他に秘密証書遺言というものもあります。これは自筆証書遺言と公正証書遺言の中間のような遺言書で、遺言者はその内容を秘密にしながら、公証人に証明だけしてもらうというものです。
しっかりとした信頼性の高い遺言を残すなら、公正証書遺言を選ぶのが一番確実といえます。
公証人の豆知識:公正証書遺言作成の費用
公正証書遺言を公証人に作成してもらうには、当然費用がかかります。その費用は手数料という費目となっており、相続の財産の価格に応じて定められています。
例えば、相続財産が100万円未満であれば、公証人に支払う手数料は5000円となります。ちなみに相続財産が10億円を超えるものは、249000円に超過額5000万円ごとに8000円を加算していきます。