遺言執行者とは?
遺言執行者とは、故人の遺した遺言を実際に行うことのできる権限を持つ人を指している単語です。この遺言執行者に選ばれた人は、遺言書に指定された遺産の相続に関わる手続きを行うこととなるのです。この遺言執行者は遺言を執行する権限を持ち、遺言に沿ってそれを執行していく役目を持ちます。
遺言執行者の豆知識:選任されるケース
遺言執行者に選ばれる場合には3つのケースがあります。一つ目は遺言を残した故人本人に直接選ばれるケースになっています。遺言書に遺言執行者を選ぶような内容が書かれていた場合、その指定された人が遺言執行者となり、遺産の相続に関わる諸手続きを行わなければなりません。
二つ目は、遺言執行者の指定を託された人が、遺言執行者を指定するケースです。故人に指定された人が、故人の代理となって遺言執行者を決定します。代理人が指定した遺言執行者は、遺言書に残された内容に基づいて、遺産の相続手続きを行います。
三つ目は家庭裁判所が遺言執行者を選ぶケースです。これは遺言執行者が存在しないことになってしまったときなどに家庭裁判所に依頼を頼み申し立てるというものです。
遺言執行者に選ばれた場合何をすればよいのでしょうか。まず初めに、遺言執行者に選ばれたあと、可能な限り早いうちに相続する財産の一覧を作り、相続する遺産を自分の管理下に置きます。その後、様々ある財産の価値を見定め、適切に分配する手続きを行わなければなりません。
ただし、注意しなければいけないことがあります。それは遺言執行者の権限は決して広いわけではないということです。遺言執行者が行わなければならない行為は4つのみです。一般社団法人の設立、相続人にしたくないと個人の意思表示があった人の排除と、指定されていた場合その排除の手続き、故人の遺志があった場合には認知の手続きといった4つの手続きのみなのです。
以上のケースとは別に遺言執行者が存在していると円滑に手続きが進行するときがあります。これは遺贈が行われている場合です。遺贈が行われている場合には、遺言執行者がいるとスムーズに手続きが行われますが、いなくても手続きを行うことはできます。
遺言執行者が存在している必要がある場合といたほうがよいケースには以上があげられますが、遺言執行者がいなくてもかまわない場合のほうが多いです。例えば故人の遺言で「不動産を相続人に相続させる」という内容が記載されていた場合、故人が亡くなってしまった時点で、不動産の権利は指定された相続人に移ります。そのため、指定された相続人が自ら登記の手続きを行うため、遺言執行者はその手続きに関わる必要はないのです。