袱紗とは?
袱紗とは、贈り物である金品を包むために使う、風呂敷のような正方形の布のことです。現代では主に、冠婚葬祭のそれぞれにおいて 祝儀袋や不祝儀袋などを包むという用途で用いられています。今回は主に葬儀の場で用いられる袱紗について解説します。
【袱紗の色と種類について】
まず気をつけておきたいのが、袱紗の色についてです。袱紗は用途によっていくつか色が分けられています。結婚などの慶事においては、主に赤やえんじ色といった 赤系統の袱紗を用います。
葬儀などの弔事においては、「紺」「グレー」「深緑」といった暗い色のものが主流です。また、慶事と弔事のどちらにも用いることができる「紫」も使うことができます。家庭で一枚だけ袱紗を用意しておきたい、というときには 紫色を選べば間違いないでしょう。
また、袱紗の形にも様々な種類があります。これは実際に包む香典などの金封の金額によって変わりますが、どれを用いてもマナー違反とはなりませんので、用意しやすいもの、扱いやすいものを選ぶと良いでしょう。
袱紗では「金封袱紗」、「爪付き袱紗」、「台付き袱紗」などの種類を多く見かけます。「金封袱紗」は金封を入れるためのポケットがついた袋状になっており、略式ではありますが手軽に利用でき、近年では頻繁に用いられています。「爪付き袱紗」「台付き袱紗」はそれぞれ、金封を包んだ際に留め金として用いる爪や 香典を置くための台などがついたものです。
【袱紗の包み方】
袱紗を用いて香典を包む際に注意するのが、左右どちらを前にして包むか、ということです。弔事における袱紗の包み方は、基本的には慶事と同じですが 開き方が逆になります。簡単な流れを見てみましょう。
【弔事の際の袱紗の包み方】
1.袱紗を裏返しで置き、その上に 中央よりもやや右側に寄った位置で、香典を表書きが読める方向にして置く。
2.袱紗の右側を 中央に向かって折り込む
3.袱紗の上下の部分を 中央に向かって折り込む
4.最後に左側を中央に向かって折り込み、はみ出た分(爪付き袱紗であれば 爪がついた方)は裏側へさらに折り込む
以上の手順で包むと、表から見て右側の上下に折り目がついているような状態になります。弔事の場合はこれで完成です。慶事には同じ手順で 左右が逆になります。注意しましょう。
【袱紗に包んだ香典の渡し方】
袱紗は香典を包むためのものであり、葬儀の会場で 袱紗ごと渡すことはありません。会場で香典を渡すときの流れを確認してみましょう。
・葬儀会場の受付で渡す場合
葬儀が行われる会場に着いたら、まずは参列者の受付を行います。斎場で葬儀が行われる場合には この受付で香典を渡すことが多いです。渡すときには、受付の前に立ってから袱紗から取り出し、中の香典を 相手から表書きが読めるようにして両手で渡します。
・遺族などに直接渡す場合
受付を介さずに 遺族などへ直接手渡しするときは、渡す相手の前で袱紗の中から香典を取り出します。台付き袱紗を使用している場合、取り出した香典をそのまま手渡しするのではなく、台の上に相手から表書きが読めるようにして香典を載せて 差し出しましょう。台付き袱紗以外のときは、お盆の上に載せるか、折りたたんだ袱紗をお盆代わりにして 同様に香典を載せて渡します。
どちらにせよ、袱紗の中から金封を取り出して渡す、ということを忘れないようにしましょう。
袱紗の豆知識:袱紗がない!どうすれば?
最近は特に若い方々を中心に、袱紗の存在そのものを知らずに 香典などを包まずそのまま持ってくるケースも目立ちます。しかし袱紗はマナーとしても、そして故人をしのぶ気持ちを表す方法としても やはりあるに越したことはありません。突然葬儀に出席することになったけど、袱紗がない、そんなときにはどうすればよいのでしょうか。
前述したように袱紗は 正方形の布です。葬儀のときには、先ほど紹介したような 紺、グレーなどの 暗い色をしたハンカチや風呂敷で代用することができます。袱紗は相手方に渡すことはないので、基本の包み方さえできていれば 気持ちを表すことができます。
弔事の場において取り出すものなので、派手な装飾や模様があるものや、明るい色使いのものはもちろん避けます。
自分用の袱紗は 事前に一枚用意しておくことをおすすめしますが、突然の弔事などにはこういったものを用いると良いでしょう。