漆塗り位牌とは?
位牌というのは、亡くなった人の魂をお祀りするための、小さな立て札(牌)のことを言います。戒名などを記入し、一般的には仏壇に安置しておくものです。
位牌は、故人が亡くなったときに準備しないといけません。葬儀の際に必要だからです。ただし、亡くなってすぐにはなかなか用意はできませんので、葬儀のときに使用する位牌は仮のもので白木の位牌を使用します。
白木の位牌は、葬儀のあとから四十九日の忌明けまでの間は、祭壇に安置されます。仏教の考え方では、四十九日の期間中は死者の魂が成仏してもらうために7日ごとの追善法要を行います。そして最後の法要で閻魔様の裁定がなされたあと、魂はようやく成仏ができるのです。その法要の間には白木の仮の位牌を仏様に見立ててお祈りをします。
忌明けが済むと、位牌は本位牌へと取り替えます。本位牌にはさまざまな種類がありますが、塗りの位牌が最も一般的に普及されています。塗りの位牌とは、漆を塗ってその上から金箔や金粉などで飾り付けたものです。最近は中国などの海外で作られたものが増えてきていますが、もともとは日本の福島県の会津や、名古屋、和歌山などの産地で作られているものが有名です。
特に会津で作られている漆塗り位牌は、室町時代からの歴史深く伝統産業として永い期間続いてきました。そのため会津塗りの位牌は昔ながらの伝統的な技術を守りながら、今も美しく丁寧な仕上がりであると人気の位牌として知られています。
会津位牌の制作の過程は、まず木地を彫刻などを施して加工を行います。下地付けというのは、木地の研磨や木固めえお行い、木地を強くするための作業です。そこに漆を塗ります。下塗り、下塗りの研磨、中塗り、中塗りの研磨、これらを丁寧に行い、そして最後に上塗りをして塗りの作業は仕上がります。
この上に蒔絵などの加工を行い、最後に戒名をいれます。
漆塗り位牌の豆知識:ペットの位牌
最近はペットの位牌を希望する人が増えています。昔とは違って生活に余裕のある人が増えてきたこと、そして核家族化が進み一人暮らしをする人が増えてきたことも理由のひとつであるといえるかも知れません。そのようなことから人とペットの関係は、より人間らしいものへと変化してきました。ペットも家族の一員であるという位置付けがなされるようになってきました。
ペットが亡くなれば葬儀を行い、そして位牌を作る人も増えてきました。ペットの位牌は、人間のものとあまり違いはありませんが、サイズは少し小さめのものを使用し、漆塗り位牌が一般的です。ペットには戒名などはありませんので、代わりに名前や愛称を入れます。
少し大げさなような気がしないでもありませんが、家族の一員であれば当然とも言えるかも知れません。