墓とは?
墓とは、故人または故人の遺骨を納めて弔うための建造物を指します。一般的には墓標や墓碑あるいは墓石などの目印を置いて、他人のものと区別すると同時に、遺族や墓参者の弔いの場とします。個人用の墓や先祖代々を祀る合祀墓が多いですが、その他会社や団体の構成員などを祀る団体墓などの形式があり、墓がある場を「墓地」として敷地内に休憩所などを設ける場合もあります。
古代エジプトのピラミッドや古代日本の前方後円墳など、かつての王族や皇族などの権力者は巨大な墓をつくることがありましたが、現代では政治的・文化的な事情や死生観や価値観の変化に伴ってそのようなことは少なくなりました。一般の人でも特定の宗教に縛られたくないなどの理由から、樹木葬や手元供養など墓を持たない供養の形が広まってきています。
また現代日本の墓は、墓地の土地代・墓石の石材やデザイン料などによって値段が左右されます。2014年にとある業者がとったアンケートによると100万円から200万円程度の費用がかかったケースが多いようです。さらに墓地の永代使用料・管理料などが上乗せされることがあります。墓や墓地は厳密にいうとマンションなどのように所有権を買うものではありません。墓を置くために場所を借りるといった捉え方をします。そのため固定資産税などがかかりませんが、管理や維持を代行する墓地や寺院に費用を払う必要があるのです。さらに寺院では檀家になっていないと墓を置けないことがあり、管理費などを滞納すると「無縁墓」になるので注意が必要です。
墓の豆知識:ガラス製もある?墓の素材あれこれ
一般的に墓は御影石などの石材から作られます。強度や耐久面からいって常に雨風に曝される墓の素材としては理想的ですが、歴史的に見ても墓は様々なものから作られてきました。
古代日本では故人を埋葬した上に土を高く盛り上げる古墳がありました。時が経つにつれ草木が生え、ため池の中にある島のようになっているところもあります。石を置くようになったのは平安時代ころからと言われています。さらに鎌倉時代には仏教が普及しだし、五輪塔や卒塔婆など仏教的なモチーフが使われるようになってきました。その辺りから墓のデザインも現代に近づいてきたようです。一方西洋では鍛冶師によって鋳造された鉄製のものや、木材が使われることもありました。また埋葬した上にバラなどの植物を植えることも多かったようです。
現代では色やデザインはもちろん、自然光の揺らぎまで通しさらに自由な表現ができる強化ガラスの墓まで登場しています。供養は形ではなく心ですので、より在りし日の姿に近づこうとする墓が出てくるのでしょう。