箸渡しとは?
火葬後、お骨を骨壷に納めるための作法で、箸を使うことから箸渡しといい、骨上げとも呼ばれます。2人がそれぞれの箸で、ひとつのお骨を骨壷に運ぶ手法のほか、宗派や地域性によっては葬儀社の手によって収骨されます。この箸渡しは、「橋渡し」とかけられていて、三途の川を渡る手助けを行うと考えられています。
収骨については、東日本と西日本で異なる部分があるようです。東日本ではご遺骨のすべて(全収骨)を、西日本では一部だけを骨壷に収めます。そのため、骨を納める骨壷の大きさにも違いがみられます。東日本では7寸(直径21㎝)、西日本では6寸(直径18㎝)がサイズの目安となります。
どの部分の骨から収骨するかについては、地域性や火葬場のきまりごとによります。
箸のマナーに、箸から箸へ食べ物を移すことはいいことではない、とされるのは、箸渡しからきています。骨上げを想起させることに加えて、箸渡しは火葬後に行うものですから、テーブルで行うことは禁忌とされます。
箸渡しの豆知識:日本人は箸のマナーに厳しい
葬儀でも箸を用いる国だけあって、生活の中においても箸に関する決まりごとが多数あります。「箸渡し」は箸と箸でおかずを渡しあうこといい、火葬場で行うことですから、行儀が悪いことになります。「二人箸」はふたり一緒に同じ料理をつかむことをいいます。
「渡し箸」は食事の途中で箸を置く(食器の上など)ことで、これは食事終了の合図です。そのため食事の途中で箸を置くのはご法度です。
「仏箸」は、箸を食べるものに突き刺す行為をさします。お仏壇に供えるご飯にすることですので、これもまた食卓ではタブーとされます。どれも葬儀に関連した嫌い箸とされ、縁起が悪いとされているのです。
このほか「拝み箸」は両手で箸を持ち、拝むようにすることで、「いただきます」のポーズとなっています。しかし箸先が隣の人に向くことから、失礼だとされています。そして「違い箸」は自分の箸と他人の箸を合わせて使うことをいいます。箸渡しに用いられる「骨箸」は竹製と木製を組み合わせ、わざと不ぞろいにしていることから、収骨を連想させるのです。
この骨箸は長さも異なっています。これは予期せぬ人の死に対して、事前に用意することができなかったほどの出来事であることを表しています。箸渡しの箸を、食事の際に使う箸と同じではよくないとする説もあります。
起源は孔子の「無縁慈悲集」とされ、渡し箸については、「親の遺骨を兄弟が相争って挟みあうのは、考のはじまりなり」と説いています。違い箸については、「一木一草ことごとく仏性あり。よって木と竹の骨を拾うなり」と伝えています。