通夜とは?
通夜とは、葬儀や告別式の前、あるいは故人を葬る前に遺族や近親者などが集まって故人との最後の夜を過ごす儀式です。通夜の起源は紀元前にさかのぼるという説があり、お釈迦様の入滅を悲しんだ弟子たちが、お釈迦様のご遺体を見守りつつ、かつて教わった説法を集まった弟子たちで夜通し語り合ったことに由来していると言われています。
こういった故事にならい、現代でも曹洞宗では故人をお釈迦様、通夜の参列者を弟子たちになぞらえて、参列者も住職と一緒に経典のひとつである「修証義」を読むことがあります。「修証義」は信徒用にやさしい日本語で書かれたもので、初めての人でも読めるよう、読誦の前に住職などが本文を書いた冊子を配ることが多いようです。
住職と一緒に経典を読む曹洞宗は少し独特ですが、一般的な通夜に参列する場合の流れはおおよそ決まっています。まず受付にて香典を渡しましょう。香典は手渡しですが、大きな会場では関係者別に受付が異なる場合があります。葬儀社の案内に従って並び、香典をスムーズに渡せるよう前もって香典袋を包んだ袱紗を出しておきます。香典袋はむき出しで手渡してはいけません。受付で、自分がお悔やみの言葉を述べる番になって初めて袱紗をひらいて香典袋を渡し、芳名帳に記帳します。万が一急いで駆けつけたなどで香典の用意ができなかった場合は、告別式などに持参する旨を伝えて記帳するだけでも大丈夫です。
受付が終わると通夜が始まり、読経が行われます。読経の後は焼香です。抹香をつまんだまま額の位置まで上げる「押し頂く」という動作をする回数、焼香自体の回数は宗派によって異なりますが、通夜の進行や参列者の人数などによっては簡略化されている場合もあります。焼香の後、僧侶も退席し式が終わり、ここで一般の弔問客は解散となりますが、遺族や親しい間柄では通夜の後に「通夜振舞い」という会食の席が設けられ、そこで飲食を共にしながら故人を偲ぶ夜を過ごします。最後に残った遺族は、故人を「あの世」へと導く線香やろうそくの火を絶やさぬよう、故人と共に夜通し見守りをする。そういった慣習が残されている地域もあるようです。
通夜の豆知識:気になる「香典」の話。連名はやはり迷惑?
通夜に参列する際に参列者が頭を悩ませるものが香典です。包む人の年代や職場での地位、故人との関係性などで金額が変わってくるので悩むものですが、同時に遺族が頭を悩ませるのもまた香典なのです。というのも、香典をもらった以上お返しをしなければいけません。「香典返し」です。香典返しは一般的に香典をもらった個人、つまり香典袋に記載された一人ひとりに贈るものです。家族葬や直葬などが増えた現代でもそれは変わりません。しかしここで遺族は頭を悩ませることになります。あまりにも連名が多いということに。
会社の同僚や少人数の部署で渡す、あるいは中学生などが同級生に対して少ない小遣いを持ち寄って包む、または夫婦で、もしかするとお金をかけたくないと近隣の人を巻き込む嫌なケース、香典を連名にするのは様々な理由があるでしょう。ですがどんなケースも遺族にとっては負担になることがあります。まず先に述べたように、香典袋に書かれた宛名の分だけ、香典返しの品物が必要になります。現代では金額にかかわらず、香典と引き換えにお返しの品を渡すこともあり、その際に余計な手間がかかったり、最悪の場合品物が足りなくなることも考えられます。それにあなたが遺族だとして、何人もの連名で少ない金額を持ってこられたらどうでしょうか。この人は品物欲しさで参列したのか、と悲しくなりませんか?そう考えると人として恥ずかしくもあります。
ですから香典袋には部署名やグループ名、「○○一同」と書くのが気遣いになるでしょう。