葬祭ディレクターとは?
葬祭ディレクターとは、厚生労働大臣認定の「葬祭ディレクター技能審査」に合格した人に与えられる称号のことです。とはいえ葬儀社に勤務するにあたって必ずしも不可欠な資格ではありません。しかしこの審査に合格すると、葬儀に関する知識や接遇マナーはもちろん、司会進行から会場の設営まで一通りの技術も得られることから年々受験者は増えています。また、葬祭ディレクターの資格は消費者に信頼感を持たれるため、葬儀社からも積極的に社員を受験させているほか、近年では葬祭ディレクターを要請する専門学校もあり、若い世代の受験者も増えています。
葬祭ディレクター技能審査は、葬祭ディレクター技能審査協会が実施する試験で、1級と2級があります。1級は5年以上、2級は2年以上の実務経験が必要とされ、実務経験のない専門学校生は、同協会が認定したカリキュラムを修了していることが条件です。このカリキュラムを終えた学生は、修了したことを示す証明書が必要になり、指定の学校で取らなければいけません。しかし指定校はまだ全国に7校ほどしかないのが現状です。
2級は個人葬に関する相談、設営、運営やサービスに関する知識、1級は個人葬に加えて社葬などもできるレベルの知識や技術が求められます。いずれも試験内容は筆記試験に加え、幕張・接遇・司会の実技試験と、顧客に対してどんなサービスをするかを筆記で答える、実技筆記試験があります。
ちなみに葬祭ディレクター技能審査、試験の説明会は「友引」の日に行われることが多いようです。友引に営業しない火葬場が多いため、休みがとりやすいからでしょうか。
葬祭ディレクターの豆知識:「幕張」できますか?
葬祭ディレクターの資格を取るには、筆記試験のほかに実技試験が必要です。そのなかに「幕張」という試験がありますが、これはいったい何でしょう。
幕張とは、高さ70㎝・幅180㎝の焼香台に白い布をかける試験です。とはいえ制限時間は7分間、その間に幅71㎝・長さ1200~1500㎝の一枚の布を裁断し、しわのないように天張りをし、側面と裏面にも布を張って画鋲で留め、さらに前面には均等につけたひだ飾りをつけなければいけません。そのうえ留めた画鋲は外から見えてはならず、裁断に失敗したら最後、かわりの布は支給されないという厳しいものです。一応メジャーの持ち込みは許可されていますが、受験者の体験談によると「いちいち布を測っている時間はない。事前に何度も練習して、大体の感覚を体で覚えるしかない」というほどだそうです。
それほどスピードと正確さが要求されるだけあって、幕張の様子を動画サイトで見てみると、どの受験者も無駄のないリズミカルな動きをしています。
確かにこれだけの技術を持っている葬祭ディレクターがいれば、葬儀も安心できるというものです。