数珠とは?
仏教徒の葬儀で用いる、108個の珠を、糸を通し輪状にした法具です。珠の数は、各宗派により厳密に定められていることもありと、宗派によって違いもあります。
日本に数珠が伝わったのは、仏教が伝わってきた飛鳥時代でとされているようです。当時の倭国において一般的に普及していったのが、浄土教の『南無阿弥陀仏』と口で唱える口称念仏(称名念仏)が世間に広がりをみせた、鎌倉時代に入っての頃であるとされています。
その使い方においても、様々な作法というものがあり、これも宗派によって違いがあり注意が必要となります。葬儀や法要等での、仏事においては、一般的な使用法としては合掌の際に手にかけておくことが主流で、それ以外では、左手に持つか、或いは左手首にはめ、下げておきます。また、実際に使用していないときは、数珠袋という専用の袋に入れ携帯や保管をしておきます。さらに、どこかに一時的にも置くという事情がある、という場合にも、直接床やテーブルなど何かの上に直接置いてはならず、必ず袱紗(ふくさ)という絹布の上に置かなくてはなりません。
他の宗教においても、キリスト教では「ロザリオ」という数珠とよく似た形状の物を使用する宗派(カトリック)があります。
数珠の豆知識:108個の珠は人の煩悩の数
基本的な数珠の珠の個数は108個とされています。これは人間に備わっている百八の煩悩を象徴しているともいわれています。
百八の煩悩とは、百八種ある、人間の心にある迷いのことを指すといわれています。それらの迷いとは人間の内に潜む、過去~現在~未来から、生きてきた経緯、経験によって積み重ねられた多くの苦しみのことなのです。
諸説あるなかで、人間には、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚からなる五感というものがありますが、それに加え、脳や頭で感じ取る第六感(勘・心・意思)から形成される悩みが、それぞれ六つずつあり、計三十六。そして、過去と現在と未来の三つの世界で生きていることで三倍され、合計で百八の悩みがあり、これが百八煩悩であるいう説が有力視されています。
この深き伝統あり、仏教徒の法具として用いられてきた数珠ですが、近年ではアクセサリーとして、ブレスレットのように用いられるものも商品化されています。勿論このようなブレスレットを、葬儀や法要等で数珠代わりに用いるなど言語道断だといえます。昨今ではこれらの法具や、その作法を説いていただける方も少なくなってしまいました。これもまた悩みの一つであり、煩悩に数えられるのかもしれません。