帰家祭とは?
神道による葬儀での儀式のひとつです。葬儀が全て終了したあと、その葬儀が無事に終わったという報告を神様に伝えるために行われる儀式のことを帰家祭と言います。
神道では死は穢れをあらわします。穢れとは言っても、私たちが普段使っている汚いものという意味の汚れとは違います。気が枯れる、つまり気力の減退を意味し神道では忌まれるものなのです。
そのために仏教とは違って、穢れを避けたり穢れを落とすための、独特な儀式がいくつかあります。まず穢れから守るために、家族で亡くなったものがあると、神棚を封じます。神棚封じが解禁されるのは、五十日祭の忌明け(仏教で言う四十九日の忌明けのこと)が済んでからとなります。それまで神棚は扉を閉めて白い紙で封印をされ、ご神水などのお供えをすることも、毎日行っているお祈りをすることもしてはいけなくなります。徹底的に現世の穢れを避けるのです。
帰家祭についても同じ考え方によって行われる儀式です。神式の葬儀でも、告別式のあと火葬を行います。火葬が済んで火葬場に同行した人たちは、戻ってくるさいにその穢れを落とさないと、家にはいることはできません。火葬に同行しなかった人たちによって、家の前に置かれた手水鉢で身を清めます。手水による身の清める方法は、神社に参拝するときに行う方法と同じです。
【手水の作法】
1.右手に柄杓を持って、左手をすすぎます。
2.左手に柄杓を持ちかえ、右手をすすぎます。
3.もう一度右手に柄杓を持ちかえ、左手に水を受け、その水で口をすすぎます。
4.最後に、柄杓を立てるようにして両手で持ち、柄杓の柄をつたわらせて水を流します。
手水の作法のあと、お清めの塩を身体にふってもらい、穢れを払ってもらいます。穢れを落とし、親族が揃ったら、神主によって帰家祭が行われます。祝詞奏上が行われ、玉串奉奠のあと一同での拝礼が済むと、一切の儀式は全て終了します。
帰家祭の豆知識:手水の読み方
手水の読み方は、てみず、ちょうず、などがあります。どちらが正しいかと言えば、どちらも間違いではありません。もともと、てみずと言っていたものが、徐々に訛っていって、ちょうずというようになったという説があります。ですから、今では一般的にはちょうずと呼ばれることの方が多いようです。
ただ伊勢神宮の手水舎では「てみずしゃ」と呼ばれており、基本的には、ちょうずという言い方は、仏教用語として使われるものとして区別されているようです。