霊安室とは?
病院や警察署、斎場(火葬場)などで、亡くなった人を一時的に安置しておく部屋のことです。遺体安置所とも呼ばれています。
遺体が火葬場に搬送される場合、直接霊安室から運ばれると思われがちなんですが、実は、霊安室で遺体を棺に納めてはいけないとしている病院が多いため、一旦自宅や安置施設に搬送されることとなります。
霊安室のない病院というのも結構あるんですが、でもそういえば霊安室ってどこにあるのでしょうか? 決まってはいませんが、たいがいは病院の地下です。ドラマなんかでもよく見る、薄暗くて何にもない不気味な部屋というイメージが強いですね。そして遺体を運び出しやすいように、出入口付近に設置されていることが多いようです。
病院にとっては「死」というのはタブーとされていますから、霊安室は人目のつかない場所であることが、今までのぞまれてきました。しかし近頃は、そういうイメージを払拭させて、「死」と真っ直ぐに向き合っていこうとする動きも見えてきています。明るく穏やかな色調の霊安室や、大きなガラス窓の海の見える霊安室などを用意している病院なども、少しずつ増えてきているようなんです。
霊安室に遺体が安置されると、あとは葬儀社の仕事になります。病院は特定の葬儀社と提携していることが多いので、葬儀社を選びたいときは、早めに断わりを入れておくほうがいいでしょう。また霊安室で遺体をいつまでも預かってくれるわけではありませんので、早々に葬儀社等を決めて、次の遺体安置先へ搬送させなければいけません。
霊安室の豆知識:モルグの語源とその意味は?
フランス語が由来のモルグ(morgue)は、死体公示所(身元不明の死体の保管する場所、また公示する場所)死体置き場、遺体安置所、霊安室、冷霊安所のことを指します。モルグははじめ、刑務所で新たに入った囚人を認識するための場所として使われていいましたが、15世紀頃には、身元不明の死体を保管する場所として、現在と同じ使い方をされるようになりました。また、アメリカでは、死体置き場の意味を転じて新聞社や出版社の資料保管室のことをいいます。
死亡判断がまだ確立されていない時代、「待ち死体置き場」が考案され、ほんとうに死亡が確定しているかどうかを、確認するための場所として使用されました。死亡判断されてからしばらくの間、この場所で保管することで、万が一蘇ることがないかを確認するためでした。この時、生きているかどうかを確認するために死体にベルが結ばれたそうです。もし生きていたらベルが鳴るという手筈だったんですね。
ちなみにラテン語のmortuariumは、死を意味し、エドガー・アラン・ポーの「モルグ街の殺人事件」のモルグと同義語です。