2006年4月1日より「保険業法等の一部を改正する法律」が施行され、「少額短期保険」や「ミニ保険」といわれる事業が開始されるようになった。この「少額短期保険」や「ミニ保険」といわれるものの中に「葬儀保険」なるものも含まれている。私も、3年前に実父を送ったが、子育ての時期と重なり、葬儀費用のねん出には一苦労した。あと実母と妻の両親を送るとなると大変な費用がかかることは、想像に難くない。
そもそも葬儀費用はどれくらいかかるか
私も葬儀屋に知り合いがいるわけではないので明確な答えは持ち合わせてはいないが、財団法人日本消費者協会の第10回「葬儀についてのアンケート調査」によると、全国平均で約189万円と出ている。もちろん地域差や、葬儀の大小があるので一概には言えないが、実父の葬儀の経験からしてもそんなところかとうなずける。
葬儀というニーズにあった保険
人が亡くなった時の保険というと、今までは一般的に生命保険といわれる商品や死亡保障の付いた医療保険などがあげられると思う。しかし、これらの保険は、高齢者や持病のある人には審査が厳しく加入するのが非常に難しかった。これに対し、冒頭で紹介した「保険業法等の一部を改正する法律」が施行されたことにより審査が緩く、高齢者や持病のある人でも加入しやすくなったのが「葬儀保険」である。そして、この保険は葬儀費用への補てんを目的としているため保険料が非常に安く、保証が99歳までと設定されている商品が多い。保険金は、「少額短期保険」にあたることから300万円以下しかおりないが、葬儀費用の相場から考えても有用な保険であると考えられる。もう一つ付け加えれば、生命保険等の保険金の支払いが、必要書類が保険会社に到着してから5営業日ほどかかるのに対し、葬儀保険業者では、原則書類到着後、翌営業日に保険金が支払われることになっている。
保険というからには掛けた分しか返ってこない
ここまでの話しだけだと、葬儀保険とはなんと加入者の側に立ったいい保険なのだろうと、私が葬儀保険業者の回し者のように思われては困るので、もろ手を挙げて喜べない話もしておく。葬儀保険には、さまざまなプランやタイプがあるが加入者の年齢が上がるごとに条件は悪くなる。ここで細かい紹介はしないが、各自が各葬儀保険業者を比較して検討していただきたい。
葬儀保険はそれぞれのスタイルで選ぶべき
葬儀は、安く上げようと思えば、10万~20万円で出来るだろう。しかし、「故人への思い」や「親族の見栄」なども入り、「恥ずかしくない葬式」をしようとする。今回のテーマ以外では、互助会に葬儀代の積み立てをするという方法もあるが、それでは互助会と提携している斎場でしか利用できないということもある。葬儀保険は、遺族が故人を見送るのに金銭面や斎場選びにも自由度を増してくれるアイテムではないかと思う。あとは、利用する側が多くの情報を取捨選択する必要があるだろう。