振り込め詐欺を始めとした詐欺事件が後を絶たず大きな社会問題となっている。終活に関連した詐欺事件も多く、警察当局から注意喚起がなされている。終活に関連した詐欺として最も多いものは葬儀と相続だ。しかし、2014年5月にテレビで報道された宗教法人を利用した「出家詐欺」とそれに付随した霊感商法が増加傾向にあるらしい。
出家詐欺とは?
出家詐欺とは、仏教において出家した場合、戸籍の名前を変更(戸籍法第107条他)できる制度を悪用し、名前を変更しながら様々な金融機関から住宅ローンを契約させて、金員をだまし取ることを言う。簡単に解説すると、戸籍上の名前が変更されると同一人物であっても状況によっては、別人格として扱われる。更に、本籍地を宗教法人の所有する施設に移動させれば、同一人物であることを証明するのは困難(個人情報保護の点からも)とされる。故に、金融機関において把握されていた多重債務者が出家し改名した場合、改名前と改名後の状態について整合性が把握できなくなる。従って多重債務者であっても、改名後は別人となるので住宅ローンの契約が可能となる。犯罪者達はそこに目を付けたようだ。背後には宗教法人の経営難があるとされ、暴力団の資金源になっているとも言われている。霊感商法については省略するが、葬儀とセットになっているとも言われ、更に僧侶が本物なのか否かという問題もあるため、一体何を信じて良いのか分からなくなってしまう。
すぐにできる対応策
一般的な解決策としては、日常から家族間で連絡を頻繁に取り合い、お互いの状況をある程度把握しておくこと。そして、判断に困る場合には即答せず、時間を置いてから回答する。また、他の家族に意見を聞いてから判断するようにすれば良いのではないかと考える。
終活に関連したトラブルを防ぐには?
終活に関連した解決策ついては筆者なりに考えてみたが、前述の策の他にも終活では一人でできるものと一人でやってはいけないものを区別し、一人でできないものは家族並びに専門家と相談しつつ進めていけばよいのではないだろうか。具体的に言えば、一人でできるものは身辺整理とエンディングノートの作成である。一人でやってはいけないものは、葬儀と相続である。
事実詐欺事件が多発しているのは葬儀と相続に関連するものであるため、一人で判断しないで専門家のアドバイスを受けつつ判断すれば、必ず良い結果に繋がるはずである。ただ、葬儀や相続について専門家と言っても、悪徳業者や偽者も多く居る。折角専門家と相談しても料金や報酬で詐欺被害に遭えば本末転倒となる。最終的には、複数の業者並びに税理士等の専門家と相談し、自分の考えに合うか否かを見てから報酬や料金について相見積もりを取り、判断していけば良い。インターネットや書籍でも十分な情報を得られるため、それらを併用すれば更に良い結果に繋がるであろう。