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事件性の有無や死因の解明、死後の経過時間を特定する検視とボディーファーム

「ボディ・ファーム」ーー多くの人にとって聞きなれない言葉だろう。しかし、米国のミステリー作家、パトリシア・コーンウェルの小説「死体農場」を読んだ方はおわかりかもしれない。ボディ・ファームとは、検死人類学(法廷人類学とも呼ばれる)の基礎データ収集のための実験場なのである。検死人類学とは、死体が時間の経過とともにどのような変化を経て骨になっていくのか、さらにその骨がどのように風化していくのかを長期間にわたって総合的に調べていく学問である。


事件性がある場合、いつどこで被害にあったのかを特定することは重要

殺人の捜査の際には、殺された人がいつどこで被害にあったかの特定が重要である。特に、殺害時間は、犯人とされる人が犯罪を実行することが可能だったかどうか、つまりアリバイが成立するかどうかのカギとなる。ここまでは、私たちのような素人でも推理小説やテレビの刑事ドラマなどからちょっと知っている知識だろう。死後硬直や胃腸の中の食物の消化の度合いなどから逆算して、死亡推定時刻を割り出すとか、知恵の回る犯人が気温条件などを操作して警察を翻弄するといったことは推理ドラマでは定番のストーリーだ。


死因や経過時間を科学的に明らかにすることを目的とした検視人類学

科学的なデータに基づいて死亡推定時刻などの判断が下されるのは当然なのだが、これらが過去の犯罪、非犯罪を問わず人が亡くなった後の詳細な解剖所見などの膨大なデータに基づいていることは言うまでもない。しかしながら、直接的なデータでない限り、一定の不確定要素の存在を排除できない部分が必ずある。そのような不確定要素を排除し、どのように人間の死体が分解されて土に還るのかを厳密な科学の目で追跡することを目的として創設されたのがボディ・ファームなのである。


生態系の研究にも効果を発揮しているボディファーム

人が自然死したり、あるいは殺害されたりして、野外や室内に放置されると、どんなプロセスを経て変化していくのか?単にこれだけでも様々な条件の組み合わせが、経過に影響を与えると推測される。例えば、日向、日陰、風通し、土壌の性質、水中や湿地、林内かどうか、土中に埋められたのかどうか、異なる地域の気候条件、亡くなった人の体格、性別、人種といったことだけでも大変な数である。それだけではない。仰向けで亡くなったのか、うつ伏せだったのか、栄養状態、疾病の有無、銃創や刃物による傷や骨折の有無や程度…。これらの条件の組み合わせだけでも、100通り以上の条件を整えなければならない。ボディ・ファームは、これらの様々な条件の組み合わせを設定し、実際に亡骸を圃場に置いて骨になるまで経時的変化を克明に記録し解析する施設なのである。経時的な変化の追跡調査の中には、様々な条件下で、ハエやシデムシやミミズなどの分解者の隆盛と消長が、死体というミニ宇宙でどのように起こるのかとか、コンドルのような猛禽類が死体をどのように消費していくのかといった研究もある。死体を利用する生物種も綿密に調べ上げられる。したがって、ボディ・ファームは、単に犯罪捜査のためのデータを提供するだけではなく、近過去の死体の考古学的考察や、大型哺乳類としての人間の死骸をめぐる生態学的な研究にも力を発揮している。


ボディファームは欧米でどのように活用されている?

現在、アメリカに7つのボディ・ファームがあって、日夜データの蓄積が行われている。そのほとんどが大学の研究施設である。アメリカほど数は多くないが、オーストラリアでも同様の研究が始まっている。一方、イギリスでもボディ・ファームの必要性を訴える声はあるものの実現していない。同様に、ヨーロッパの他の国も必要性を論じているが、実現していないようだ。ただ、オランダがヨーロッパ最初の「検死墓地」という形で引き受けてもよいと名乗りをあげている。日本はというと…様々な法的な制約があり、実現することは難しいだろう。このような新奇でタブー視されがちな学問分野のタブーを打ち破るのは、アメリカやオーストラリアなどの新しい国であるというのは興味深い。土地が広いということもあるだろう。


ボディファーム自体に対して評価する声は多いが…

ボディ・ファームにおける研究に対しては概ね賛同や評価の声が多いが、臭気の問題やコヨーテなどの肉食獣の増加につながる可能性などいくつかの課題もある。一方、自分自身が亡くなったあと、ボディ・ファームに献体したいという人は多い。理由は単に科学の進歩に貢献したいという人もいるが、献体希望者の多くはそれだけでなく「自然な形で土に還りたい」という強い意志を持っている。山野を切り開いて自然を破壊して墓地を造成し、火葬で大量の化石燃料を消費する現代人の終末に疑問を持つ人は増えているようだ。


ライターAve Vera
検死ハンドブック

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