直葬というのは、信仰されている宗教によって形式や呼び方の違いはあるが、仏教の一般的な葬儀において行う、お通夜と告別式といった、故人との最期のお別れともいえる儀式を省き、火葬だけを行う葬儀の形態になる。この直葬を行うことを選択された遺族の事情や都合は、それぞれのご家庭によって様々にあるのだろう。
直葬のメリット:時間短縮と低コスト
当然のことではあるが、直葬について肯定的だという方々もいれば、否定的であるという方々も存在するが、肯定的な方々にとっての直葬のメリットとは、経済的な面や、時間の短縮という面ではないだろうか。
これらはまさに、現代の多くの人々が抱える問題を解決する意味でもメリットと呼べるし、お通夜と告別式といったことを行わずに済むことで、遺族の労力を大幅に軽減することにも繋がるのだ。
直葬のデメリット:
ただ遺族の負担を表面的に軽減するという意味では、直葬はメリットの多い葬儀の形式だと言えるが、深層的な心理面においてはデメリットといえることも多々ある。
最も大きな問題としては、やはり時間の短縮が可能な分、故人とのお別れの時間を充分に持つことができないことから、時間の経過と共に後悔の念に駆られるということにもなりかねない。また、故人との最期のお別れを望むのは遺族だけではなく、生前に何らかの関わりを持っていた人々もいるのだ。
お通夜や告別式とは、そういった人々を一堂に会しお別れする儀式行う意味合いのあることから、その後、かえって個別に弔問客が次々に訪れ、その対応に追われるといったケースが多発する事態となることもある。そういった、本来はお通夜や告別式に参列する立場にある人は勿論、周囲の人たちから理解されず、非難の対象となることも考えられる。
現代における葬儀のありかた
時代が移り変わるにつれ、古くから伝わって来た伝統というものにも移り変わりがあり、ものの考え方、その行われ方も変化と遂げることは当然のことでもある。
しかし、行為そのものが変化したとしても、変わってはいけないものが、それを行う人々の心であり、葬儀を行う上での故人を想う心ではないだろうか。逆に言えば、いくら通り一遍の豪華なお通夜や告別式を行ったとしても、そこに故人を想う心がなければ何の意味のない事であり、ただの浪費に過ぎないし、色々な事情から火葬してあげるしかできなかったとしても、そこに故人を想う心というものが伴っていれば、きっと意味のある、心に残る葬儀となることだろう。