「日本初のドライブスルー葬儀が、中部日本で始まる」というニュースが、なんとアメリカのウェブニュースサイトにアップされた。その後、アメリカのほかのニュースサイトでも取り上げられはじめた。現時点で、日本のドライブスルー葬儀のYahooでのヒット件数は70を超えており、イギリスのニュースサイトでも紹介されている。
そもそもドライブスルー葬儀とは?
ドライブスルー葬儀とは、香典を渡す際にコンピュータのタッチパネルで署名し、車に乗ったまま係が差し出す焼香台に焼香する仕組みだ。故人のお姿はモニター画面で車内から見るようになっている。伝統的な格式を重んじる「はずの」日本で、ハンバーガーショップのような手軽な葬儀への参列というミスマッチが興味を引いたようだが、このような葬儀の方法が始まった背景として日本の社会が抱えるいくつかの事情にも触れている。
ドライブスルー葬儀を始めた理由は?
ドライブスルー葬儀を始めた会社の社長へのインタビューによると、ひとつは、高齢人口の増加とともに斎場に足を運ぶことが困難になったお年寄りが、近年急激に増えていること。もう一つは、高齢化のもうひとつの側面として、亡くなる方の数も増えているということであると報じている。亡くなる方の急増によって葬儀場は混みあいがちであるため、ドライブスルー葬儀を導入することで、ひとつの葬儀や通夜にかかる時間を少しでも短縮できればよいのではと考え、この会社ではドライブスルー葬儀のシステムを導入したという。
米国では既にドライブスルー葬儀が存在した
ところで、ドライブスルー葬儀は日本が世界初ではない。いろいろ調べてみると、今のところヨーロッパにはなさそうだ。カナダでもヒットしなかったのだが、アメリカでは結構ある。そして、世界初のドライブスルー葬儀は、アメリカで始まったというのはほぼ間違いないようだ。正確にいつから始まったのかは定かではないが、1980年代半ば頃のようだ。その後も、少しずつドライブスルー葬儀を行う葬儀屋さんが増えている。
アメリカのドライブスルー葬儀はどんなサービス?
アメリカのドイブスルー葬儀は、ガラスのショーウインドウのようなしつらえの空間に棺が車と平行になるように置かれていてガラス越しに最後のお別れをするようになっている。もちろん、車から降りてショーウインドウの内側に入ってお別れをすることも可能。しかし、日本と最も違う点は、ガラスが防弾ガラスであることだ。そもそも、ドライブスルー葬儀がはじまった理由の一端には、報復合戦で拳銃、ショットガン、はてはセミオートマチック・ライフルまで使うギャングたちに好まれたということがあるそうな。
一定の需要があるドライブスルー葬儀
もちろん、アメリカでも通常の葬儀に参加することが困難な高齢者にも喜ばれているという。好むと好まざるに関わらず、葬儀のあり方は、参列者の利便性や年齢的な限界などに配慮する形に進化していくものなのだろう。ドライブスルー葬儀に嫌悪感を示す人がいる一方で、「実際に会場に足を運ぶタイプの葬儀と同時にオプションとして、ドライブスルー葬儀があってもよいし、ビジネスチャンスであろう」とワシントンポスト紙に紹介された中小企業向けのブログでジーン・マークス氏は述べている。
最後に…
葬儀に参列することが銃撃のターゲットになる可能性が高いという、アメリカの特殊事情はさておいて、論点は、車の中からお参りするということが、故人に対する敬意を欠いているかどうかということだと思うのだが、皆さんはどうお考えだろうか?