前回コラムの「故人との接点となり続ける遺影。だからこそ人生最高の1枚にしたいですよね。」では、「遺影とは?」という基本的なお話から、筆者の祖父の葬儀の際の体験談を書かせていただきました。
人生の最後を飾る最高の一枚。
生前のうちに自分で選んでおきたいという方も、最近では少なくないようです。
近年では遺影用の撮影を行うサービスも増えてきていますが、でもそこまでするのは……と思われる方も多いはず。
そこで今回のテーマは『自分でもできる! 残したい遺影の撮り方』を取り上げます。
旅行ついでに遺影写真?
暑かった夏が終われば、涼しい風が吹く秋がやってきます。
そんな秋の行楽シーズン。
旅行のついでに遺影用の写真を撮りに行くのはいかがでしょうか?
いきなりそんな不謹慎な!なんて酷いこと!と思う方もいらっしゃるかもしれません。
でも意外と親世代、高齢者層の方があっけらかんとしていることが多いようなのです。
先日、お盆で久しぶりに田舎に親族が集まったときの話です。
祖母とその兄弟たちが、以前一緒に旅行に出かけた時の写真を見て盛り上がっていました。
「この花畑での写真、いいねえ~」
「わたしの遺影にしようか!」
などと話しており、次第に、
「今はどこそこが悪くてあそこの病院に通っている」
「いつ逝ってもおかしくないから、いろいろ整理しないと!」
と会話は弾んでいき……。
福祉施設などでも仲間が集まれば、自分たちの病気の話題で盛り上がるそうです。
死に対しての、このあっけらかんとした態度。(もちろん皆がそうではないですが……)
だからこそ、まだまだ元気なのだなと感じたのでした。
そこで筆者が思ったのが、旅行のついでに遺影用の写真を撮りに行くのも楽しいのでは?というところなのです。
遺影に限らなくとも、思い出の写真が増えるのはいいですよね。
親孝行のため、一緒にすてきな時間を過ごして写真に記録する……。
また、仲間同士でお出かけしても楽しいでしょう。
基本はこれだけ!デジカメの簡単な使い方!
今ならスマートフォンでも、驚くほど簡単にきれいな写真が撮れる時代です。
デジタルカメラも安価で操作しやすい物が多く、自分たちでも十分にすてきな写真が残せるでしょう。
デジカメ撮影での3つの基本
(1)なるべく明るい場所で
(2)よい背景を選び
(3)人物を真ん中に置き、シャッターボタンを半押ししてピント(焦点)を顔に合わせること
(1)は、周囲が暗いとシャッター速度が遅くなり、写真がブレてしまうことを防ぐため。
(2)は、背景に余計なものが写りこんで、ごちゃごちゃした印象にならないよう。前述の花畑をバックにというのもきれいですね。
(3)は、シャッターボタンを半押しすることでカメラがピント(焦点)を自動的に合わせてくれます。カメラの覗き窓(ファインダー)や液晶を確認して、顔がぼやけずはっきりと見えていることがポイントです。
他にもテクニックはさまざまありますが、ここにポイントを絞ればあとはカメラ任せで大丈夫でしょう。
設定次第では、自動的に人物の顔を探し出してピントを合わせてくれるといった機能を持つカメラもあります。
細かい設定は説明書を見たり、買ったお店で店員さんに聞いてみるなどすれば、親切に対応してくれると思います。
ずっと残したい一枚を遺影に
「あの旅行で撮った写真がとてもよかったから、あれを使いたい」という一枚を残せたら嬉しいですよね。
これから秋にかけて、涼しく外に出やすい季節になってきます。
秋の花と言えばコスモス、彼岸花(曼珠沙華)も見頃を迎えます。
山では青々と力強く輝いていた緑も、少しずつやわらかに紅葉していきます。
もちろん旅行に限らずでも、好きな場所、大切にしている物と一緒に撮影するのもいいでしょう。
いざというときになって、よさそうな写真がない!と残された家族が困らないように。
そして家族も、大切な人の最高の一枚をずっと手元に残しておくため。
それが、お互いにとっての「終活」の一つとなるのかもしれません。