持参した弁当を広げたり、あるいはバーベキューなどを楽しみながら、明るい陽射しに照らされた風景や自然を眺める。公園などでのんびりするのも休日の楽しみ方である。特に5月は芝生の緑も美しく、花壇の花も元気に満ち溢れている。こんな場所では気分も開放的になって食べ物も美味しく、家族や友人との話も弾むだろう。もちろん一人で文庫本などを片手にくつろぐのもいい。
お盆や彼岸のような慣習がない海外は好きな時にお墓参りをする
ところで「墓地でピクニック」はありなのか。海外居住者のブログなどを読んでいると時々、現地の人が墓地で散歩やピクニックを楽しんでいる記述をちらほらと見かける。特にアメリカは外でのくつろぎ方も自由なのか、公園や森林などではなく墓前にシートを敷いて親子で寝そべったり食事をしている写真がある。確かにアメリカをはじめ海外の墓地には芝生が敷かれ、色とりどりの花が植えられている場所が多い気がする。それに日曜日には教会に行ったりとキリスト教が生活に根付いている。だからこそ十字架などのモチーフにも抵抗や気味悪さを感じないのだろう。
そもそも海外では、日本でいう「お盆」や「お彼岸」のような決まった墓参りの習慣がない。だから自分たちの好きな時やできる時にするだけなのだ。あるいは何かの節目や記念日、故人の命日や誕生日、祝日に墓参りをする。クリスマスには墓石を飾り付け、花やツリーを置いたりもするという。電飾でピカピカした墓を想像すると不謹慎を通り越して笑ってしまうが、それだけ死者ともフレンドリーな関係なのは少し羨ましい。
墓地自体が、まるで美術館のよう
行ったことはないが、ニューヨークのウッドローン墓地には野口英世やデューク・エリントンなど著名人の墓が多数ある。広大な敷地には桜や花の咲く木が植えられ、休憩所や日本庭園まで造られている。道の所どころにライオンやマリア像の彫刻があり、色彩豊かなステンドグラスが嵌められた霊廟も見られる。ゆったりと美術品を眺めるような気持ちで墓参りもできそうだ。
墓も写真で見る限り個性豊かである。音楽家の墓には個人が担当していた楽器や音符がデザインされ、その他の墓も誰のどんなものなのか、じっくり見ていると時間がいくらあっても足りないほどだが、墓地の公式サイトを見ると親切にもツアーガイドの案内があるようだ。また敷地内に来る鳥を紹介し、墓地でのバードウォッチングまで勧めている。ちなみに、セントラル・パークができる以前はここがニューヨーク市民の憩いの場だったという。
最後に…
墓参りの時に、見知らぬ家の墓石に彫られた名前をつい読んでしまう。自分がまだ生まれていない明治や大正に生きていた人がここにいる。この子は2歳、男手の少ない家庭だったのか、などと想像すると見知らぬ死者にどこか親しみを感じる。アメリカ人のようにはいかないが、少しだけ墓地でのんびりするのも悪くない。