個人的なことで恐縮ですが、私の母の葬儀では前回書いたジグソーパズルのことのような、イレギュラーなことがぽつぽつとありました。母は几帳面な人だったので、葬儀のありさまは不本意だったかもしれません。
ちなみに私の両親は関西地方の出身で、菩提寺は『臨済宗妙心寺派』のお寺でした。父の葬儀の時はご住職がわざわざ東京まで出向いてくださり、初七日法要まで営んでくださいました。
母は浄土真宗本願寺派から臨済宗。私は臨済宗から日蓮宗。
母が亡くなった時、喪主になる私は無論、父の葬儀に来て頂いたご住職をお呼びしようとしました。ところが重要な仏事と重なり行くことができないとのお知らせがあったのです。仕方ないので葬儀社の方には同じ宗派のご住職をお願いしたいとの意向を伝えました。葬儀社の方は随分努力をして下さったようですが、この宗派のお寺は関東ではあまり数がないそうなのです。すったもんだの挙句、ご住職から『曹洞宗の方でも構わない』とのご返答があり、母は曹洞宗のお経であちらに旅立っていきました。
このような母の場合は特殊でしょうが、女性は生まれた時と死ぬ時の宗派が違うという人は少なくありません。案外当たり前に思って意識はしていないと思いますが、お嫁に行くと宗派が変わってしまうことが多いからです。母の場合も『浄土真宗本願寺派』から『臨済宗』になりました。私自身も『臨済宗』から『日蓮宗』に変わったので、たぶん日蓮宗のお経であちらに行くのでしょう。だいたいの女性たちは、嫁いだのち婚家の宗派のやり方を夫の親に教えられ、親戚の葬儀などに出席していくうちにその宗派に馴染んでいくものでした。無論嫁いでも同じ宗派という方も多いですし、宗教にこだわってお嫁に行く方もいるので一概には言えないと思いますが…。
このような経験は宗派へのこだわりを薄くするかもしれない
一点間違いないのは、このような体験をしていくと宗派へのこだわりはどうしても薄くなっていくのではないでしょうか。
知人でご主人が亡くなった時、ご主人の宗派がどうも気に入らなかったので変えてお葬式を出したという方がいます。これは特別だと思いますが、TVの座談会などを見ていても、女性の方が男性よりこだわらないように見受けられます。ことに埋葬に関してはペットと一緒がいいとか、散骨・樹木葬などで自然に帰りたいという声を女性達からよく耳にします。宗派へのこだわりが薄い分だけお葬式にも埋葬にも自由な発想ができるのだと思います。
新しい葬送の形は女性が変えていくのかもしれませんね。