終活を進めて行くと相続に関して、ある種の疑惑(疑問?)が湧いてくる。相続税(贈与税)って黙っていればバレないのでは?という具合に。
節税よりも脱税の方に興味が湧いてしまった挙句、実際にそのような相談をしに税理士事務所に来所する方も稀にではあるが、それなりに居た。その方達はどうなったのか?以下の文を参照すれば、想像できるはず。相手を考えれば、直ぐに結論が出るはずだ。
死亡届は役所を通じて必ず税務署にも通知される
黙っていれば、バレないというのは確かに一理ある。しかし、相続に関することについては、そうはいかない。
人が亡くなった場合、手続き上必ず死亡届を各市町村に届け出る。その際に、各市町村から税務署に死亡届の内容が通知される。市町村に死亡届が出されたら即日税務署に通知されるので、黙っていれば云々は一切通用しないということが、ご理解頂けるものと思われる。
また、市町村に対して、税務署には亡くなったことを通知しないで欲しいと要望しても却下されてしまう。相続税法58条の規定により、必ず通知されることになっているからだ。
そもそも生前から富裕層は高額納税者としてリストアップされている
更に、税務署は一定以上の資産を保有している人物を予めリストアップしている。死亡届が通知された場合、即座にリストアップされている人物か否かを調査しているので、隠そうとしても無駄なことなのだ。
因みに、何故税務署は一定以上の資産を保有している人物が分かるのかと言うと、それは、かつて発表されていた長者番付が参考になる。税務署は個人の所得税の申告において、当該個人の資産内容や収入の状況を正確(申告内容に嘘・偽りがなければ)に把握している。それは当然、会社勤務のサラリーマンであっても、個人の収入の状態は殆ど把握されていると言って良い。所得税を申告することによって、個人の収入や資産が把握できる。故に、相続税や贈与税を納税できそうな人物を把握しやすいのだ。
もう一つ付け加えると、近年導入されたマイナンバー制度により、銀行口座の全ての取引(海外取引も含む)が正確に把握することができるようになっているため、もう逃げようがないのが実情なのだ。
墓に入れず刑務所に入ることも…
最後に、逃げようがないという事まで綴ったが、それでも相続税を納付したくないと言う方が居た場合(実際に居た)には、どうなるのだろうかというと、次のとおりとなる。
納付期限を過ぎたことによる延滞税(所謂利息)が課税され、無申告加算税等の加算税(所謂罰金)が課税される等、非常に重い罰を受けることとなってしまう。最悪の場合だと懲役刑も課されることも有り得る。この状況だと、執行猶予も認められないことが多く、悲惨な状況となってしまうだろう。
どう考えるかは、その人次第ではあるが、くれぐれも法を遵守し、墓に入らず刑務所に入るようなことにはならず、安全で清廉な終活をして頂きたいと願うばかりだ。