殆どの方が生命保険に加入されている現在、生命保険の死亡保険金の扱いは相続においても重要な位置を占めている。
保険契約によっては、支払われる死亡保険金の金額が高額になるため、扱いには注意が必要となるだろう。今回のコラムは生命保険と相続税について綴ってみたい。
保険金の受取人が指定されいない場合は、相続人全てが受取人となる
ある人が亡くなり、亡くなった人が生命保険に加入していたとする。
その場合には生命保険の死亡保険金の受取手続きをしなければならない。生命保険の契約上、受取人が指定されていれば、原則として受取人単独での手続きが可能となる。しかし、例外として受取人が指定されていない場合には、相続人全員で手続きをしなければならない。何れにせよ必要書類が多く、手続きも煩雑なので、事前に保険会社に確認しておくことを勧める。
死亡保険金の受取人の指定は、通常だと生命保険の契約時(加入時)に行われる。しかし、契約時に指定されていた受取人が既に亡くなり、契約者(保険料支払者)が新たに受取人を指定しないまま亡くなった場合、その死亡保険金の受取人は、生命保険契約の約款、遺言状の有無によるが、亡くなった受取人の相続人となる。
しばらくしてから生命保険の保険証券がみつかるなんてことも?!
様々な手続きを終え、相続も一段落し、精神的にも余裕が出てきた時、故人の遺品を整理していたら、新たな生命保険の保険証券を見付けてしまった。こういう話は、筆者の税理士事務所勤務時代には、意外にも結構あった。契約したことを家族に知らせないまま故人が亡くなったことが原因だ。
この場合問題になるのは、相続税の税額等についてもそうだが、一番の問題は、死亡保険金の請求権の時効だろう。保険法第95条によると、死亡保険金の支払いを請求できる権利は、3年間請求しなかった場合に消滅するとある。もし、請求していない死亡保険金があれば、早急に保険会社に連絡をして手続きして欲しい。
3年の時効を過ぎてしまった場合においても、諦めずに保険会社と交渉してみると良いかもしれない。筆者の経験だと、特例として全部ではなかったが、一部の死亡保険金が支払われた例がある。
生命保険の契約を全て把握しておくことがオススメ!
何よりも重要なのは、現在契約(加入)している全ての生命保険について契約内容を把握し、死亡保険金の受取人、支払手続きに関する保険会社の担当者や連絡先、必要書類等を一覧表にして纏めておくことを強く勧める。
誰かがお亡くなりになってからでは、精神的にも不安定となり、適切な判断も困難となるだろう。折角の権利が無効となるか、相続人達が更なる負担を強いられる状況は、避けておいた方が良い。穏やかな終活のために、手間を惜しむべきでは無いと考える。