人気の漫画やアニメでは、人気があったにもかかわらずストーリー上でキャラクターが死んでしまう事がある。彼らは時に、現実の人間と同じようにファンを悲しませ、その死を悼まれる。さらには現実の人間と同じように「お葬式」が行われたり「命日」が設定され、漫画の連載やアニメの放送が終わった後何年にも渡って「追悼」が行われている事がある。
漫画・アニメファンによる愛すべきキャラクターたちへの「供養」について調べてみた。
あしたのジョーの力石徹は、実際にお葬式が行われた
実際にお葬式が行われ、確実な命日が設定されているキャラクターとして最も有名なのが、「あしたのジョー」の主人公・矢吹丈のライバル・力石徹だろう。
1970年3月24日には講談社内で実際にお坊さんを招いての葬儀が行われ、原作者のちばてつやおよび梶原一騎も参列したほか、列席したファンは800名にも及んだ。戒名もあり、「功徹院清精道観居士」とされている。
供養された北斗の拳のラオウやアカギの赤木しげる
さらに最近では、「北斗の拳」の登場人物で主人公ケンシロウのライバルであるラオウの葬儀として『ラオウ昇魂式』が、映画の公開日前の2007年4月18日(水)に高野山東京別院で行われたほか、「闘牌伝説アカギ 」の主人公である赤木しげるが作中で1999年(平成11年)9月26日に亡くなったことから、2009年の同日に「十周忌」として法要が営まれた。この赤木しげるについては彼の墓碑が作られており、現在は横須賀市のレストランに常設展示され、連載が終わった今もファンが絶えず訪れている。
ファンによる追悼
実際に葬儀が行われなかったキャラクターについても、その死を扱った話が雑誌に掲載された日や、
作中での死亡日時などが命日とされ、漫画の連載やアニメの放送が終わった後も毎年小さないイベントが行われている事がある。
「慰霊碑」や「献花台」などが設置され、原作者やアニメ声優などが参加してイベントが行われる事もあるが、細く長く続いているのはファンによって同人誌やネット上で行われるささやかな追悼イベントだ。中でも多いのは特設サイトやイラスト投稿サイト、SNS上でのイラストや同人漫画・小説の投稿などで、そのキャラをずっと愛し続けるファンにより「追悼」として一定の盛り上がりを見せている。
墓などの物理的なモニュメントがないキャラ達に大して、そうして「目に見える形」でその存在を思い出す行為こそが、ファンにとっての「供養」の形なのである。
愛され続けるキャラクター
漫画やアニメは次々に新しいものが出版・放送され、過去の作品は次第に忘れられてしまう事も多い。しかし、作中で亡くなったにも関わらずファンによって毎年追悼され、思い出してもらう事のできるキャラクターは、彼らの記憶の中でいつまでも「生き続ける」事が出来る。
そうして「供養され続ける」ことでその存在が人々の心にあり続ける事が出来るという意味では、架空のキャラクターも実在の人間も同じなのかもしれない。
「ずっと忘れない」「ずっと愛し続ける」ためには必ずしも物理的な物は要らない。大切なのは、残された者による故人への愛なのだ。