早い所では既に夜空を彩り始めている夏の風物詩「花火」。
この夏家族や友人を連れ立って観に行く方も多いのではないだろうか。
花火大会といえば、短い夏の間でも所謂「お盆」の時期に開催される場合が多いというのことを皆さんはご存知だろうか。
「花火」と「お盆」。何やら関係がありそうな。「火のない所に何とやら」云う様に、「花火のない所にも何とやら」……ということで「花火」と「お盆」の関係についてお話ししたいと思う。
隅田川花火大会の由来とは?!
花火大会は日本各地で催されているが、とりわけ有名なのは隅田川花火大会であろう。
毎年100万人近くを動員するこの花火大会。その歴史は古く、江戸時代中期までに遡る。
古来から民衆を苦しめてきた大飢饉がこの時代にも広がりを見せ、多くの人々が餓死者や病没者が多発して日本中は混乱を極めた。
そこで時の将軍である徳川吉宗は犠牲者の鎮魂と疫病退散の祈りを込めて、隅田川にて水神祭を催した。その時に花火を上げたことが隅田川花火大会発祥の由来となっているのである。
お盆と花火と送り火と迎え火
子供の頃、毎年夏になると田舎の祖母の家に遊びに行って、既にこの世を去っていた祖父に会うために家の外で迎え火・送り火をしていた。
その際に一緒に花火をやった思い出がある。送迎の慎み煙とは別の賑やかで鮮やかな煙が一緒に立ち昇っていた。
これはあくまで私個人の体験であるが、長崎県にはお盆の時期に「お墓」で花火をする習慣があるという。それは花火だけではなく爆竹なども用い、さながら中国の旧正月祝いの様であるという。やはりそこにも、故人への慰霊を盛大に、鮮やかに、と意味するところが有り、大小関わらず花火と死者には深い関わりがあることを窺い知れる。
花火葬って?!
花火と死者の関わりは理解していただけたであろうか。
今紹介したのは「花火を使って死者の魂を慰める」わけであるが、次に紹介するのは「死者を花火として打ち上げる」所謂「花火葬」である。この驚くべき埋葬方法は今話題の「散骨」の一方法として実際に存在しているのである。
この花火葬を行っているのはイギリスのとある会社であり、更に驚くべきことに花火葬専門の会社だという。埋葬方法はご想像通りだと思うが、火薬に故人の遺骨を混ぜ、それを夜空に向けてドンと打ち上げる。故人の遺骨は色鮮やかな花火と共に一瞬のうちに消えていく、というものである。
本来悲しみに暮れるはずの埋葬も、華やかなショーになり、「参列者」から「見物客」へと変わってしまう。埋葬方法の多様性を感じるが、果たして日本で執り行われる日は来るのであろうか。
京都大文字山の送り火が指し示す様に、故人がこの世に渡り、そして帰るには目印となる灯りが必要になってくる。今年も日本各地で花火大会が開催されるはずである。一瞬のうちに綺麗に咲いて、消えてゆくその様はどこか人の一生を思わせるものがある。花火の儚さにある思いを感じながら、今年の花火を楽しんでみてはいかがであろうか。