スーパーやホームセンターなどでは早くもお盆の準備用品などが早くも売り出され、専用のコーナーが設けられている。
そんなお盆のアイテムとして欠かせないのが真っ赤なほおずき。
しかしこの「ほおずき」が今、意外な形で注目を集めている。
お盆のほおずきの役割とは?
古来、亡くなった先祖の霊は子孫の焚いた火の明かりに導かれて現世に戻ってくるとされる。
小規模なものでは家庭用の迎え火の提灯、大規模なものでは長崎・熊本の「精霊流し」や京都や奈良を中心に各地で行われる「大文字焼き」でみられるのように、お盆は火・灯りによって先祖の霊魂、精霊を迎え入れ、供養する行事なのである。
盆棚(精霊棚)に飾られる真っ赤なほおずきはこの灯りを模したものとされ、またお供え物が足りない場合にもその代わりを果たしたといわれている。そのため、ほおずきは盆棚の四方を囲うしめ縄に吊るす事が多い。その際は枝ごと吊るす場合と実を1つずつバラバラにして縄に挟んで吊るす場合があり、これは地域や家庭によっても異なる。
お盆のほおずきと話題のスーパーフード
日本のほおずきは東南アジア原産の「観賞用」の品種で、昔から夏の風物詩として愛されてきた。しかし、観賞用のほおずきには毒性があり、苦味も強いためその実を食べる事は出来ない。一方、南米のペルーではインカ帝国の時代からほおずきが食品として食べられてきた。
これが、今「スーパーフード」として話題になっている「ゴールデンベリー」である。
南米原産の「食用ほおずき」の1つであるゴールデンベリーはドライフルーツとして出回っているものが多いが、鉄分やビタミンA、ビタミンBの一種「インシトール」が含まれ、アンチエイジング効果が期待できる食品として注目が集まっている。また、生の食用ほおずきは秋田県上小阿仁村の特産品となっているほか、主に長野や北海道、山形などの比較的涼しい地域で栽培が盛んである。見た目はミニトマトによく似ており、鮮やかな黄色やオレンジ色、真っ黒なものもあり、糖度はメロンと同じくらいとかなり高い。さらに、トロピカルフルーツのような風味とぷちんとした食感で、癖になる味わいである。
食用ほおずきの育て方
食用のほおずきは今までマイナーな作物だったが、最近ではホームセンターや通販でも種や苗が売られている。育て方はほぼミニトマトと同じで、比較的丈夫な作物である。ただし暑さに弱いので直射日光が当たりすぎないようにし、水枯れに気を付けることが重要である。
*育て方
(1)3月〜4月にトレーなどに種を撒き、苗を作る
(2)本葉が4枚程度になったら気温が高くなる5月頃を待って地植え、もしくは大きな鉢などに植え替える。水はけのよい粘りのある土を選ぶこと
(3)肥料は月1で、追肥を2回ほど行う。この際、窒素分の多い肥料は避ける
(4)植え替えて1カ月ほどすると花が咲き、観賞用ほおずきの3分の1ほどの大きさの小さな緑色の実がなる
(5)食べごろは外皮が茶色く枯れ、触るとポロポロと落ち始める頃
食べられるほおずきにご先祖様もびっくり?
ご先祖様をお迎えする精霊棚の飾りとして、やはりおなじみの真っ赤なほおずきは欠かせない。
だが、あのきれいな実がもし食べられたらいいのに、と実は思っていた人もいたのではないだろうか。
食用ほおずきの苗は大人気なため通販などでは入手困難な場合もあるようだが、もし興味があれば育ててみよう。
次のお盆からは「食べられるほおずき」が新たな定番になるかもしれない。