葬儀はただでさえ大変なものですが、特に気になるのは金銭面と言う人も多いだろう。葬儀屋と、良好な関係を築きたいと思っている人がほとんどだとは思うが、葬儀に慣れている人間と言うのはあまりいないだろう。そうした不慣れから、葬儀屋とトラブルを起こしたと言う例は結構ある。今回はそんなトラブルを紹介していこう。
訃報は突然やってくる
都内に住むあるご夫婦。40代の彼らが突然の訃報にバタバタしている中、そのトラブルは起こった。
ざっと、経緯を見ていこう。亡くなったのは、夫の方の父親で、それまで老人ホームにいたのだが、特に健康上の問題も無く、平穏無事に暮らしていた。
夫婦は共働きをしており、面倒を見ることが難しいため、父親とも話し合って老人ホーム入りとなっていた。その事で、父親を放置している、と言う後ろめたさは若干あったのだが、それでも時々見舞いに行った老人ホームでの父の表情に安堵する事も多々あった。そんな父の容態が突然急変し、間もなく父は帰らぬ人となった。老人ホームの職員の話だと、眠る様に父は亡くなったと言う。その話を聞いた二人はとても安心したそうだ。
初めてのことで、右も左も分からない葬儀
特に父親が死んだ事で問題は無かったのだが、初めて喪主をつとめる夫にこの後、思わぬ事態が起こる。
夫も初めての事だったが、低費用な家族葬で済ませたかった事もあり、ネットでかなり値段の安いところを選んでみた。セット料金と言う事で安心して申し込み、式は滞り無く進んだ。父親は思っていたよりも生前の付き合いが多かった様で、参列者の数も相当数いて、ご夫婦は自分達の父親の思わぬ人望を、その死後に初めて知る事になるのだった。
無事に式が終わり、いざ、支払いと言う時になって、ネットで見た金額よりもかなり高い値段になってしまい、二人は驚く事に。
実は、セット価格とは別に、葬儀屋の表示されている値段には、「オプション料金」が設定されていた。
その内容とは「お棺のグレード」など、かなり細かい値段設定に及んでいた。一部は「まあ、オプションでも仕方ないかな」と納得出来るものもあったのだが、骨壷などの値段までもオプション設定がされていた為「こんなの最初から付けておいてくれよ」と、葬儀屋に思わずクレームに近い苦情を伝えた。
見積と請求が異なることによって起こる葬儀トラブル
勿論、かかった金額は実際に発生している料金である為、支払わない訳にはいかない。
二人は、仕方なく香典の総額よりもずっと多い料金を払う事になり、結局思ったよりもずっと高い葬式になってしまった、と言う事だ。
二人がこのオプションの落とし穴に陥らない為には、何が必要だったのだろうか?
今では、この手のオプション料金のトラブルを事前に回避する為に、最初から「この金額以外は一切いただきません」と言う葬儀屋も増えている。また事前に見積を提示してもらい、実際に支払うことになる請求額との差額が発生しないように、打合せで詰めておく必要もあっただろう。究極的には、生前に予算内で対応してくれる葬儀屋をあらかじめ探しておくことだろう。
しかしそれでも実際の葬儀と言うのは思っているよりもずっとお金がかかるのも事実である。生前から亡くなったときの準備をしておくことを不謹慎とは考えずに、貯金や葬儀保険などを上手く利用して対処し、トラブル無く葬儀を執り行うことが、きっと故人に安らぎを与えてくれるだろう。