近親者が亡くなった場合、葬儀はあげたい。しかし、金銭的に難しい、という時がある。
最近は葬儀積み立てや葬儀保険も一般的になっているが、そう言った備えも無いまま、家族が亡くなる事も勿論ケースとしてはある。
そんな時に、普通の葬儀が難しい場合、助かるのが「家族葬」と言うシステムである。
滅多に合わない親族同士の揉め事
特に故人が人付きあいがあまり無い場合、普通の葬儀をしたところで、あまり弔問客が集まるとは思えない場合などにも、家族葬は遺族にとってありがたいと言って良いだろう。香典による金銭の不安などを最初から計算に入れなくても良いからだ。
しかし、気をつけたい事もある。それは何と言っても、「滅多に会わない親族同士の揉め事」だ。
特に、家族葬の場合は、人数が少ない事もあって、通夜後の泊り込みには要注意だ。最近は、この通夜後の泊り込みを簡略化する事も増えてはいるが、家族葬の場合、比較的普通の葬儀よりかは行われている傾向が高いようだ。
滅多に会わない親族と、良い機会だからと夜通しで故人の話などに花が咲く事もあるだろう。故人を偲びながら、和気あいあいと夜が更けて行けば、故人もきっと喜んでくれる、素敵な時間となりうる。だが、「家族葬」の思わぬ落とし穴がこの通夜後の泊り込みには潜んでいるのだ。ネックは「翌日に行う告別式も親族以外に出会うことがない気楽さ」である。
普段会うことがないからこそ起こる家族喧嘩
知人の話だが、その一家のお婆様が亡くなった。あまり人付き合いの多い人では無かったので、家族の判断で、家族葬で弔う事になった。故人の孫は三人姉妹。姉妹自体は仲が良く、三人ともそれぞれ嫁いで行っているので、久しぶりの三人揃っての再会に、話にも花が咲いた。
しかし、次女と長女の夫とで大喧嘩が始まってしまった。
普段、特に長女の夫は温和で知られており、滅多に(特に女性とは)喧嘩をする様な人では無かったと言う。それは次女にも言えた事で、たまに二人が会う時にも、問題は無かった。しかし、普段は温厚な次女ではあったが、酒が入ると人格が豹変するらしく、暴言の数々に暴言を言われた長女の夫だけでなく、周りの親族全員がかなりのドン引き。長女の夫に若干の同情が集まったものの、長女の夫も酒の勢いと暴言で頭に血が昇り、二人は極端にヒートアップしてしまい、最終的には大暴言合戦になってしまった。長女の夫が最後の理性で、暴力沙汰にこそならなかったが、まさにその現場は地獄絵図と言って良い状況。
最終的には、故人の娘(三姉妹の母だ)が、泣いて「お通夜なのに、こんなのって無い!」と叫んだ事でかろうじて、事態が収束した。だが、その場の雰囲気は最悪だったと言う。
通夜は特に気をつけましょう!
今回の様な事態が起きてしまった背景には最初に書いたネックの「翌日に行う告別式も親族以外に出会うことがない気楽さ」にあると言えるだろう。
次女も後に「ちょっと、次の日も親族以外にいないって事で飲みすぎた」と語っている事から、「家族葬」の意外な落とし穴と言えるのでは無いだろうか?次女の言葉は更に続き、「私も次の日誰か知らない人に会うんだったら、酒量も調節するわよ。ついつい、家族葬って事で気を抜いてしまったわね」という言葉にも、この落とし穴が見受けられるだろう。
家族葬は、通常の葬儀よりかは故人に対する親密度が上がり、良い事もたくさんあるのは間違いない(何と言っても安いと言うのは大きなメリットだろう)。だが、それなりのデメリットも存在する事は覚えておいた方が良いかもしれない。