当コラムでも、手元供養の革新的アイデアとして、「遺骨ダイヤモンド」をご紹介しました。
確かに大切な人の一部を形見に変えて、肌身離さず残しておけるという考えは画期的なものです。
しかし、加工品といってもダイヤモンドでは少々手が届きにくいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。遺骨加工サービスにおけるダイヤモンド加工の相場は、30万弱からとなっているのが現状です。そこで今回は、もっとお手頃な価格で手元供養を行いたいという方のために、流行りの遺骨を形にするサービスについてご紹介します。
フォトフレーム ✕ 納骨
遺骨を形にするサービスの発想の1つは、骨壷をインテリア化してしまう考えです。
従来の骨壷は白い無地の陶製が多く、そのままで家の中に置いておくにはあまりにも不格好で、つい仏壇の中などにしまわれることが一般的でした。
手元供養では、いつでも故人の存在が感じられるようにすることがコンセプトになっています。したがって、仏壇の中で日の目を見ないことがないように、生活空間に馴染む骨壷に作り変えてしまおう、というわけです。
特徴的なものとして、以下の2つの例が挙げられます。
1つは、アロマキャンドルのような、従来のインテリア用品と擬似させる骨壷です。形も我々が普段から目にしている造形であり、家のサイドボードにおいておいても全く不自然には感じられません。
もう1つは、フォトフレームと一体化させた骨壷です。一見、通常の写真立てとなんら変わりはありませんが、額縁の裏に遺骨の一部や遺灰を収納することができます。写真とともに、故人の存在を色褪せぬまま保てることに利点があります。これらの骨壷をインテリア化するサービスは2~3万円程度で行うことができます。
アクセサリー ✕ お骨
遺骨を形にするサービスの発想のもう1つは、遺骨自身を加工してアクセサリー化してしまうことです。
遺骨や遺灰の一部をロケットなどに収納するペンダントやリングなどは、旧来より存在していました。しかしダイヤモンドのように、遺骨そのものを加工して宝石に変えてしまうことが、最近注目されつつあるサービスです。
代表的な加工方法は3つあります。1つはガラス封入型と言われ、遺骨をそのままガラスの中に散りばめることで、まるで星空のような輝きを放つアクセサリーが出来上がります。
2つ目は、ボーンチャイナ型と言われています。ボーンチャイナとは、古来中国より伝わる高級陶磁器の名称であり、製作の過程で骨を生地の中に混ぜることで、より白くなめらかな陶磁器ができるとされます。この型のアクセサリーも、まさに遺骨を混ぜてできる白磁のアクセサリーとなっています。
最後は人工宝石型と言われています。これは、遺骨を石英などの鉱石と混ぜ溶かした後で、形を整えながら冷却する工程を踏んでいるため、高熱のもとで製作される遺骨ダイヤモンドとは色合いも、大きく異なっています。大理石のような滑らかな表面が特徴的な宝石です。これらの遺骨加工アクセサリーはものによって異なりますが、安いもので2~3万円、高くても10万円前後と、遺骨ダイヤモンドよりも費用を抑えて手元供養を行うことができます。
低価格になりつつある手元供養サービス
以上、お手頃価格な手元供養サービスをご紹介しました。
手元供養は、宗教にとらわれない故人への強い思いが表出して発生したサービスを考えられています。しかし現実として、一家に1つの仏壇が用意できなくなっている時代に、不格好な骨壷をどうにかして手元に置いておこうという苦悩の末に考えられたのが手元供養だとも考えられます。いつの日か、街ゆく人の身につけるアクセサリーのある程度が、大切なあの人の形見になるという時代も訪れるのではないでしょうか。