昨今、事実婚による夫婦別姓の風潮が、少しずつ広がっています。
しかしその一方で、この風潮は旧来の伝統との衝突を迎えています。
すなわち別姓の場合、夫の家のお墓に妻は入ることができるのか、または妻の家のお墓に夫は入ることができるのか、という問題です。
お墓は家制度の象徴!
みなさんもご存知の通り、お墓は日本の家制度の象徴です。
家族の形態をとりながらも個人を主張しようとする夫婦別姓とは、なかなか相容れることができません。
そこで今回は具体的に、別姓夫婦は自分たちの骨をどのお墓に納めるべきかを、いくつかの例をもとにご紹介します。
新しくお墓を購入するのも一つの手段!
意外な解決方法として、新しくお墓を購入する方法があります。
今では別姓夫婦を考慮して、両姓が彫られたお墓も販売されています。しかし、お墓を購入することは、そう簡単にできることでもありません。墓石のほかに墓地をおさえる必要もあります。なにより購入費用は、100万円を超えることが予想されます。また、自分たちの子供も夫婦別姓を採用した場合には、また新しくお墓を購入しなければなりません。
このように、両姓刻印の墓地購入は、単純明快ではありますが、現実的ではありません。
納骨するお墓の管理者、親族に許可を得る!
では、次に考えうる方法として、墓地管理者と納骨される墓地の親族の許可・同意を得る方法です。
墓地管理者は一般的に寺院や、霊園を経営している企業となります。墓地に入るために、他方の親族の同意が必要ということも家制度的な考えの一端ではありますが、この2つを確認することで、別姓夫婦であっても自分の親族とは異なる、他方のお墓に入ることができます。
しかし、これでは夫婦別姓にした意味がない、どちらかの姓を名乗るだけでよかったのではないか、と思われる方もいらっしゃるでしょう。
両家に半分ずつ納骨するのもアリ!
これらの折衷的な方法として、自分の骨を半分ずつ両家のお墓に納める方法があります。
もちろん他親族のお墓には前段のように許可や同意が必要ですが、自分の骨が両姓のお墓に残るということは、大変意味のあることでしょう。すなわち、自分の親族のお墓に入ることは、夫婦別姓だったことを示し、他方の親族のお墓に入ることは、自分たちは夫婦・家族だったと示すことができます。
以上、夫婦別姓において、入るお墓の問題を3つの例をもとにご紹介しました。
家制度を代表するお墓は、意外にも夫婦別姓などの問題に対して、柔軟に対応できるということを理解していただけたでしょうか。今後も姓の面だけでなく、個人主義的な風潮が強まれば、家制度の権化たるお墓にまつわる問題が増えてくることでしょう。