かつて土地神話と呼ばれる言葉があった。土地の値段が限りなく上昇し、際限なく続くと誰もが信じていたのだ。しかし、神話はあくまでも神話であり事実ではない。土地の値段は上昇すれば下落することもある。
利用価値のない土地は買い手が見つからない
土地によっては上昇することがなく、下落するだけか値段が殆ど変わらずに一定している場合もある。東京都心の一等地や、他県でも鉄道駅の近隣に所在する等立地条件の良い土地ならば、値段も高値で安定し下落したとしても大幅に下落することはない。だが、山奥に所在するとか土地そのものが大きな災害に遭った場合、それらの土地が利用価値のない土地として、値段は下がるばかりか値段そのものがつかない場合もある。つまり、利用価値がない為に買い手がつかず、当然売ることが困難となってしまうのだ。このような土地を所有している、または相続した場合には非常に困ったことになる可能性がある。今回は利用価値のない土地と相続について触れてみたい。
相続で土地を取得する場合
問題なのは相続によって利用価値の無い土地を入手した場合だ。筆者の経験だと、相続によって取得した際、相続人達は安価で(相続税を納付するだけ)土地が手に入ったとばかりに舞い上がり、冷静に判断ができなくなることが多く、数年経過してから土地の処分について相談に来たことがあった。しかしながら、税理士に相談しても土地の処分と税務とはあまり関係が無く、不動産会社を紹介して相談を終了したこともあった。
利用価値がないと判断した場合
解決方法としては相続放棄(民法第915条他)が最も合理的だ。相続開始後三ヶ月以内に被相続人の居住地を管轄する家庭裁判所に申し立てをすれば良い。但し、相続放棄したとしても、管理義務(民法第940条)と言って土地の管理を維持しなければならない義務を負うことになる点に注意が必要となる。
専門家に相談がベスト
利用価値が無く、また使用する予定も無い土地を所有し続けると、固定資産税や維持管理(草むしり等)に係る諸経費が負担となってくる。また、簡単に相続放棄とは言っても手続きも個人では無理であり経費も係るだけでなく、他の相続人達とのトラブルを誘発する可能性もでてくる。これらも諸問題も纏めて解決するためには、税理士や弁護士等の専門家に相談し、アドバイスを受けつつ円満解決を目指すことが最善であると考える。