唐突ではあるが筆者は学生時代に麻雀にハマっていた。深夜まで打つことはザラで、時には徹夜をしたことも珍しいことではなかった。ところで、麻雀には三元牌というものがある。由来については諸説あるが、有名な説だと美女の条件を表しているとされている。
三元牌の諸説
筆者が良く読んでいた麻雀初心者向けの書籍に記載されている説だと、麻雀発祥地である中国においての理想的な人生を表現しているとされていた。即ち出世し、財を成し、生前に墓を建立するという具合だ。
三元牌は白・発・中となっている。発が出世を表し、中が財を成し、白が墓を表しているとのことだった。中国においては、生前に墓を建立することは、大変縁起の良いこととされている。日本ではどうかと言うと、寿陵と呼ばれ仏教の輪廻転生の観点から、縁起が良く更に建立した人は返って長生きすると言われている。
さて、生前にお墓を建立することは生前墓とも言われるが、実は相続税の節税対策としても有効だということをご存じだろうか。今回は、生前墓と相続税対策について簡単に解説してみよう。
墓地墓石や仏壇仏具、神棚などは相続税が課されない
墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物は相続税が課税されない。(相続税法第12条他)但し、骨董的価値があるなど投資の対象となるものや商品として所有しているものには相続税が課税される。生前墓を建立することのメリットは二つあると考えられる。
生前にお墓を購入することの2つのメリット
一つ目は墓石自体に相続税が課税されないだけでなく、生前贈与と同等の効果即ち、生前の相続財産を減少させることにより相続税そのものを減額できること。
二つ目は、自分が入ることになるお墓を自分の好みに応じて建立でき、残される人達(墓の管理者になる人達)と一緒に墓石を選定すれば情報の共有が見込めることにより、お墓の管理についての心配がなくなることだ。
生前にお墓を購入することのデメリット
デメリットとしては、ローンでお墓を建立した場合、相続税の非課税対象にはならないことだ。あくまでも、亡くなった時点で残債がないことが前提となっている。また、公営墓地だと生前墓が建立できない場所が多いことだ。建立する際には場所の選定も重要となることに注意が必要となるだろう。
金銭的な価値が認められるような高価なお墓や仏壇にはご注意を
一般社団法人全国優良石材店の会の2017年の統計によると、日本全国のお墓の平均相場は(墓地代除く)167.3万円となっている。これが高いか安いかはそれぞれの判断に委ねるが、注意して欲しい点がもう一つある。前述した骨董的価値についてだ。
仏像等の仏具で純金製の非常に高価な物を購入した場合や、高価な木材を使った仏壇を購入した場合、または高名な芸術家が作成した価値が高い物だと、相続税が課税される可能性がでてくる。当然、墓石も例外ではない。判断するのは税務署となるわけだが、購入する前に判断に迷ったら税理士に相談することを勧める。的確なアドバイスを受けることができるので、是非とも参考にしつつ生前墓を建立して欲しい。