家族の大事な一員であるペット、亡くなったときには家族同様、大切に葬儀を行ってあげて供養したいと考える人は多いはずだ。
以前より日本では、動物が亡くなると様々な形で供養をすることがあった。今や業者も増え珍しくなくなったペット葬儀、その始まりはどのようなものなのだろうか。
動物たちの供養の歴史
人間の生活に役に立ったり、ペットとしてかわいがっていた動物を供養したりという風習は、世界各地にあり それぞれ長い歴史を持つ。
極端な例を言えば、なんと縄文時代の遺跡から犬が埋葬された跡が見つかったとのこと。愛玩用や狩猟用ではないかとされているが、これらは人間の居住地のすぐ近くに 土葬が行われていたようである。
古代エジプトにおいても動物のミイラは何件も発見されている。人間のペットとしては、ネコのミイラがある。特に古代エジプトでは動物を模した神も多く、人々に大切にされていたことがよくわかる。
日本では第二次世界大戦まで、全国の寺院で動物の供養が行われていた。主に農耕で使われていた家畜や、檀家の所持していた犬や猫の供養がされている。
戦後には警察犬や盲導犬といった人間の日常生活に貢献した動物たちの供養も行われるようになり、動物の葬儀はより一般的になっていった。
「ペット葬儀」の誕生
上記のような動物以外に、一般の人々が飼っている犬や猫の葬儀が事業として引き受けられ始めたのは、昭和20年代前半と言われている。
東京の寺院系動物霊園が ペットの葬儀や火葬、納骨ののち供養までを行い、20年代後半には関東の宗教法人以外の業者が 事業としてペット葬儀を引き受けた。昭和30年代以降には関西やその他の地域にまでペット葬儀は広がっていき、民間経営の動物霊園や動物葬儀社が次々と誕生した。
平成に入ると「ペットブーム」の始まりとともに、ペット葬儀は全国の都道府県のどこでも行えるようになった。今や珍しくないペット葬も、歴史は長いとはいえ ここまで多様になり広がったのはごく最近というわけである。
人気の裏にある様々な問題
家族の一員としてペットを大切に供養し、葬儀を行う。その行為が珍しくなくなった現代、ペット葬にまつわる様々な問題も発生している。
ペットの増加に伴って当然ペット葬の需要も増えるわけであるが、今のところ動物の葬儀については法律もなく、地域によっては自治体で基準を設けているところもあるが 法整備が不十分である。そのため悪質な業者が現れ、飼い主とのトラブルが起こることも少なくはない。
火葬を頼んでいたはずが、ペットの遺体を引き取った後 費用を浮かせるために業者がそのまま投棄していたという事件も2010年にあり 大きな話題となった。
大切な家族をきちんと供養したい、という思いを持った飼い主としては、このようなトラブルは絶対に避けたいもの。そのためには事前の準備をしっかりと行い、本当に信頼に足る業者であるのかの見極めが必要だ。動物の葬儀の歴史は長いとはいえ、ここまでサービスが充実するようになったのはごくごく最近の話。最後のお別れを安心してするためにも、ペット葬儀についての正しい知識を身につけたい。