葬儀のマナーや風習、慣習は地域のよってかなりの差が存在し、その数も膨大です。いつも私たちが当たり前だと思っているそれらはもしかするとほかの地域の人にとっては珍しいものかもしれません。すべての違いを綴るわけにはいかないのでまずは関東と関西の主な違いを取り上げますが、特別違うのは通夜、お料理、お骨、香典です。
関東と関西の「お通夜」の違い
通夜の後には食事をしながら故人を偲び、話し合う時間、場がありますが、ここに違いがあります。
関東では通夜振る舞い(遺族だけでなく参列者、弔問客もその場にいること)があり、人数分ほどの大皿料理を準備します。大皿にのった寿司がこの一例でしょう。このとき参加者は食事に箸をつけねばなりません。なにもせずに帰ってはマナー違反となるかもしれません。
一方、関西では通夜振る舞いは基本的にありません。ですから近親者のみの小さめの食事をとります。もちろん参列者はそのまま帰ります。マナー違反ではありません。
関東と関西の「香典」の違い
関東では一般的に香典をほぼ百パーセントうけとり、関西では親戚のひとのみ受け取り一般の人の香典は受け取らないことが多いです。相場は関東のほうが高いです。これは先ほどの食事の振る舞いの違いの影響もあるのでしょう。
関東と関西の「お骨」の違い
関東では火葬後のお骨を全部拾いますが、関西では足、腰、胸などの主要な骨のみ拾います。当たり前のようにお骨はすべて拾うものだと思っていたので、全部拾わないというはすこしカルチャーショックを受けました。
これはほんの一例ですが、大きな違いがあることがわかりますね。関東と関西の違いは商人と武士と職人の性格の違いだといわれますが、葬儀の慣習にもそれが影響を及ぼしている証拠だと思います。
その他、特徴的な慣習が残る地域は?
次に県特有の慣習やマナーを紹介します。47都道府県すべて紹介するわけにはいかないので筆者が特に興味深く感じたものを紹介します。
北海道:香典に領収書がでる。一般の人でも新聞の訃報広告専用ページに載る。通夜の前に火葬を行う。
青森県:骨壺に納めずに納骨する。
埼玉県:TVなどで幽霊役の人がよく頭につけていて、「かんむり」と呼ばれている三角の布を参列者全員につける
富山県:「善の綱」と呼ばれる白い布を棺にまく
京都府:友引の葬儀では「友人形」とよばれる人形を棺に入れる。香典袋の黄白の水引
高知県:故人が納棺されるまでは生きているかのように接する。
宮崎県:参列者にお菓子を持ち帰ってもらう「目覚まし」と呼ばれる習わしがある。
関東、関西についてと同様に、その地域独自の慣習やマナーが発達していて面白いですね。
おそらくここに述べたすべての違いや慣習が今現在のこっているわけでありません。しかし、確実にそれらは存在していました。独自に発達するというのはそれぞれの地域のそれぞれの先人たちが故人に対してまっすぐに向き合い考えたということです。そう考えるとこんなに細かく違いがあることに感慨深さを感じます。