先日「仏壇を小さくリメイクするサービスが注目されている」という新聞記事を目にしました。成程、このサービスを利用すれば引っ越しなどで居住空間が狭くなっても、慣れ親しんだ仏壇、代々受け継いだ仏壇を使い続けられます。つまり買い替えや手放しをしなくて済む訳です。
ちなみに可能な限り元の雰囲気を残すとのこと。ただ面白い事に、同じ大きさの新品を買い替えるより高くつく場合が有るらしいのですが、「今までと変わらぬ気持ちで仏壇の前に座り、手を合わせられる」と、利用者には好評だとか。やはり仏事は金に換えられないということでしょうか。
葬儀業界に訪れている波が仏壇仏具業界にも?
記事中に気になるコメントが有りました。葬祭業のコンサルタントなどを手掛ける企業の代表の方が述べられたものですが、「墓や葬儀と同様、仏壇も簡素で日常空間に溶け込むものが求められている」と。
御存じの方も多いかもしれませんが、少子高齢化の到来に伴い、家族葬や直葬、自然葬の浸透などここ数年の供養スタイルには低費用化の傾向が見られ、併せて葬儀市場の自由化が進んでおります。
こうした流れが仏壇のリメイクを後押ししているとも言えそうです。
最後に…
それから、同コメント中に「日常空間に溶け込むものがもとめられている」と有りましたが、思わず私は「昨今の葬儀市場の激変が、こんな場面でも垣間見られる」と感じてしまいました。
つまり”日常空間に溶け込む”とは、葬儀や仏事が従来の宗教的権威から解放され、より消費者の嗜好とかニーズに沿ったものとなっている事を暗示している様にも思える訳です。
自由化の傾向は、その一方で僧侶の生活を圧迫しているという問題を孕んでいるのも事実です。特に地方に於いて深刻で、専業の僧侶では生計が成り立たず、副業をしている僧侶が増加しているようです。
これらの問題を抱えつつも、葬儀市場版”ビッグバン”は膨張し続け、とうとう仏壇の領域にまでその余波が及び始めたか、といった感じです。改めて市場エネルギーの凄まじさと言いますか、時流の加速度の大きさには驚いてしまいます。今後、どの様な展開になるのでしょうか。