ここ最近、お寺のホームページを見る機会が増えた。コラムを書いているうちに色々と知りたいことが出てきて、さらには座禅会にも出てみようかと思ったからだ。
実家の宗派と近所にあるお寺が曹洞宗なので、同派のものを見ることが多い。するとその中に「梅花講」という文言が含まれていることに気づいた。自作のホームページでは掲示板なども独自のネーミングをすることが多々あるので、初めはその類かと思ったが違った。
梅花講とは、音楽を通した信仰活動の一つ
「梅花講」とは何か。曹洞宗の公式ホームページには「寺院における信仰活動」とあった。信仰を共にする人たちが悩みや日々のことを語らい、唱えることを楽しむ集まりといったことが書かれている。お寺に集まった彼らが唱えるのが「梅花流詠讃歌」であり、右手に持った鉦を叩きながら左手の鈴を鳴らして歌うものらしい。
歌うと書いたが、この梅花流詠讃歌にはメロディーがあり、ドレミの洋楽譜に起こされた楽譜もある。歌詞もお経をそのまま歌にしたようなものから、童謡のようなやさしく親しみやすい表現まで様々である。
市井の人々が集まり、お釈迦様や曹洞宗の開祖である道元を讃えるとともに、四季の移ろいや自然や先祖に感謝の意を歌に込める。日本人の感性に訴える素朴な心が表れているような気がする。ところでこの梅花流詠讃歌、何と「全国大会」があるという。
昨年開かれた梅花流詠讃歌の全国大会
梅花流詠讃歌の全国大会がYouTubeに動画が残されていたので見てみた。すると「平成28年度梅花流全国奉詠大会~富山県~1日目」というタイトルで4時間超の動画であることがわかった。ちなみに2日目も同様の長さなので家で何かの作業をする際のBGMにお勧めしたい。
さて肝心の内容であるが、会場は富山市総合体育館。暗い会場にステージが映し出され、青いスポットライトが揺らめいている。静かにピアノの音が入り、その響きがだんだん強くなる。やがて男性のコーラスが混ざり、あらゆる音が強度を増す。会場のボルテージが上がったところで照明も青から白っぽいものに変わり、ドライアイスの煙が晴れると、大きな仏像を中心にした舞台に一列に並んだ僧侶たちが現れる。そのままプログレのライブでも始まるかのような大仰さだ。この後は高僧による開会宣言のようなものがあり、空中に色とりどりのテープが放たれる。いわゆる「特効」と呼ばれるものだ。
あの有名ミュージシャンも作詞作曲を行っている
とはいえ派手なのはここまでで、以降はたくさんの種類がある梅花流詠讃歌を、全国から集まった僧侶や、梅花講の信徒たちが歌う映像が延々と続く。しかしその響きは穏やかで落ち着くものだ。司会者の声まで静かなものである。所どころで僧侶や観客が微笑み合うカットまで入り、何とも平和で争いのない「全国大会」だった。大会とはいうものの勝敗を決めるものでは勿論なく、近所のお寺を抜けたもっと大きな和で歌う、さらに大きな梅花講なのだろう。素直に面白いと思った。
余談だが、梅花流詠讃歌の一つである「まごころに生きる」はフォーク歌手の南こうせつが作詞・作曲している。