人の死は突然訪れる。亡くなった方との関係性次第では、茫然自失となったり、あるいは泣き崩れたりするかもしれない。しかし、亡くなれば当然葬儀を行わなければならない。そして葬儀を上げるにはお金がかかる。もしも「葬儀費用が不足している、足りない」と不安があれば、悲しみに浸っている余裕はない。今回はそんな方のために、葬儀費用が不足している場合の対策を紹介する。
葬儀費用は火葬終了直後か、それが難しければ10日以内に支払うのが一般的
葬儀の費用は火葬が終わり次第、火葬場にて支払うことが殆どである。そしてその支払いは、主に現金一括だ。もしも、それが大金であった場合は、後日に葬儀社がご自宅に訪問し、そこで支払うというケースもある。
葬儀費用が高いか安いかを問わず、火葬終了後に用意できない場合は、事前にその旨を葬儀社に伝えるのが重要だ。そしてそれと合わせていつまでに葬儀費用が準備できるかも伝えると良いだろう。ただしここで一点注意が必要である。火葬終了後ではなく、後日に支払うという形を選ぶ場合、一週間から長くても10日後が一般的となるため、それを超えることは極力控えると良いだろう。
余談ではあるが、葬儀費用とは別に、葬儀に宗教者をお呼びした場合、その方へのお布施が別途必要となる。これについては後払いが基本的には難しいため、火葬終了後までに用意することが必要だ。
では葬儀費用を火葬終了後に支払うことも、後日に支払うということも、どちらもできない場合はどうするべきだろうか
葬儀費用が不足している場合の現金以外で支払う方法
前述したとおり、葬儀費用は現金による一括で支払うことが一般的である。またその支払うタイミングは、火葬終了後か、あるいはどんなに遅くても葬儀終了後の一週間から十日後である。そんな大金をすぐには用意ができない、すぐは持ち合わせがないという方はどうすればいいだろうか。
(1)クレジットカードで支払う
葬儀費用はまだまだ現金での支払いが一般的だが、徐々に一部の葬儀社を中心に、クレジットカードによる支払いが可能となってきている。また「一括」、「分割」、「リボ払い」、「ボーナス払い」とそれぞれ支払い方法を選択できることと、クレジットカード利用による「ポイントが貯まる」ことも大きなメリットだ。
ただし、クレジットカードにはそれぞれ限度額が存在する。葬儀費用は決して少なくないため、その限度額が超えてしまってはないかどうかの確認は必要である。もしも超えてしまった場合は、一旦クレジットカード会社に限度額の引き上げを相談してみるとよいだろう。
(2)葬儀ローンで支払う
現金が不足し、クレジットカードがなかったとしても、葬儀ローンが残されている。クレジットカードに比べると金利を負担することになるが、支払い回数を選択できることは大きなメリットといえるだろう。
ただし、葬儀ローンには審査がある。支払能力が問われるため、場合によっては審査に通らないこともありえる。
では、もしも現金もクレジットカードもなく、葬儀ローンの審査に通らなかった場合はどうすればいいのだろうか。
現金もクレジットカードもなく、葬儀ローンの審査に通らなかった場合の方法
もしも現金もクレジットカードもなく、葬儀ローンの審査に通らなかった場合、残された手段はどこかから借りるしかない。借りる先は金融機関かあるいは個人、葬儀社のいずれかになる。ただし個人や葬儀社の場合は、借用書を書くことが重要だ。その際には最低限以下を明記した借用書を交わすといいだろう。
(1)Aさん(貸主)がBさん(借主)に金◯円を貸し付けた旨
(2)貸付の日
(3)弁済期限や支払回数
(4)借主の署名捺印
この4つを記した借用書を最低限交わしておけば、紛争防止に役立つ。それは貸した側だけでなく、借りた側にとっても非常に有効である。なぜなら貸した側が、弁済期限よりも早く返して欲しいと主張したとしても無効になるからだ。
※貸主への注意事項:もしも借用書をかわさなかった場合は、仮に裁判を起こして返済を求めようとしても非常に困難になります。なぜならお金を借りていることを認めたメールやメモなどのやり取り、銀行口座の入出金記録、経緯を説明した貸主の陳述書などを借用書の代わりに用意し、貸したことを証明しなければならないからです。そして当然ですが、貸していることの事実を証明する責任は貸主側にあります。もしも借主側が借りたことを認めないような場合にはかなり厳しい裁判になる可能性が高いでしょう。ちなみい金利をつけることも可能ですが、その場合は法律で決められた利息制限法を超えてはなりません。
葬儀費用が高いなら葬儀費用を抑えればよい
葬儀費用が払えない場合の一つの手段として、葬儀費用を抑えることも選択肢に含まれる。
(1)市民葬や区民葬を利用して葬儀費用を抑える
一部の自治体では、市民葬や区民葬といった葬儀費用を軽減する公共サービスを展開している。利用するために幾つかの条件があるが、その多くが「故人もしくは喪主が、その自治体に住んでいること」が条件となっているため、条件を満たすことは容易だろう。
(2)直葬・火葬式で葬儀費用を抑える
通夜や告別式を行うだけで、式場使用料や人件費、お料理、返礼品などが上乗せされる。この点、直葬や火葬式と呼ばれる葬儀であれば、15万〜20万円程度に抑えられる。
(3)補助金を葬儀費用の足しにする
健康保険に加入している人は、その組合毎に葬祭費や埋葬料、埋葬費などと呼ばれている補助金を受け取ることが可能である。その額は組合によって異なるため、別途直接問い合わせが必要だ。ただしこの補助金は、申請をしなければ支給されない。また申請の期限も決まっているので注意が必要だ。
生活保護受給者は自治体からの補助金で葬儀費用が0円になる
葬儀費用が足りないという方の中で、もしも生活保護を需給している方がいたら、その方は自治体より葬儀費用に対する補助金が支給されるので不安になる必要はない。具体的な金額や支給条件は、自治体により異なるので、直接問い合わせると良いだろう。
逝去後すぐに葬儀費用を現金で準備するのは大変
2010年に行われた日本消費者協会の調査結果によると、過去3年間に「身内に葬儀のあった人」が葬儀にかけた費用を全国平均で1998861円であったと発表している。更に葬儀費用とは別に発生した宗教者へのお布施の平均は514456円だった。
亡くなった方が財産を残していたり、生命保険に加入しているのであれば、ここまでの心配はないだろうが、これほど多額の葬儀費用を亡くなってからすぐに準備できる方はそう多くはないだろう。
葬儀費用が不足している、足りないという場合の対処法が少しでも参考になれば幸いだ。