ひところまるで嵐のように吹き荒れた韓流ブーム。過ぎ去った今も毎年韓国へ旅行するという女性も多く、本当に近い国になりました。しかし旅行やドラマではわからないことも多いのではないでしょうか。
近しい人と最後のお別れをする大切なお葬式。韓国では『儒教』の考え方にのっとって執り行われます。韓国でも仏教やキリスト教などいろいろな宗教を信仰する方々もいますが、それらの信仰とは別に生活の基本そのものが『儒教』の考え方を指針にしているので葬儀もそれに沿って行われることが多いようです。
敷地内に葬儀専用の建物を完備している韓国の病院
『儒教』で一番知られているのは『長幼の序』でしょう。お年寄りを大切にし、乗り物では席を譲ったり食事の時も最年長者が箸をつけるまで、誰も食事に手を付けないというような考え方です。
従って死者を見送る葬儀も日本より丁寧に行われます。昔は自宅で葬儀は行われ、人が亡くなるとすぐ屋根に上り北に向かって死んだ人の名前を泣きながら呼び、魂を呼び戻そうとしたそうです。
現在は葬儀も病院の敷地内にある葬祭場や、民間の葬祭センターで行われます。病院の敷地というのは驚きますが、それ専用の建物を完備している病院もあるそうです。
韓国の葬儀は3日葬(サミルチャン)と呼ぶ
葬儀は『3日葬(サミルチャン)』と呼ばれ、その名の通り3日間かけて行われます。
1日目は、故人と親交のあった人に連絡したりお葬式の準備のために充てられます。
2日目は日本でいうと通夜にあたり、遺体を整えお棺に入れます。この日から故人の8等身以内の親族が正装します。
3日目は告別式と埋葬です。韓国は基本的には土葬だそうですが、政府が勧めているので近頃は火葬も増えてきたそうです。その後自宅で霊魂を迎える祭祀を行います。
そして葬儀の3日後、お墓の前にお供えをして祭祀を行ってから喪服を脱いで葬儀が終わります。
韓国の葬儀では、女性は喪主になれない
驚くのはサミルチャンの間、会葬者はいつ行ってもよいのです。遺族は夜中も起きていて、会葬者を迎え入れ食事の提供をします。現在は3日間ですが、昔は5日間、7日間という葬儀もあったそうで、生きている人間の方が参ってしまうのではないかと心配になります。また女性は喪主になれず、故人の血縁の男性に限られます。
葬儀の流れは日本とよく似ているように思える韓国ですが、儒教がしっかり根付いていているためか故人への畏敬の念の深さがより強く感じられるようです。それらの違いをしっかり見つめ、大切にしていかなければならないと思います。