家族葬が増えていると聞く。それは一般の方々だけではなく著名人にも浸透しているという。そこで実際にどの程度行われているのか調べるために、新聞社が発行している「おくやみ」の過去3ヶ月間を見てみた。
ちなみに家族葬を行っているかどうかの定義は「その方のお名前 家族葬」で検索し、それらしい記事が見つかった場合に家族葬を執り行ったとさせて頂いた。
107件のうち67件が家族葬だった
すると107件ほどのおくやみを確認。ちなみにこの中にはいわゆるテレビ等で活躍されているような方々だけでなく、上場企業の社長や役員も含まれている。そしてその内、一般葬を行っていたのは40件、家族葬は67件と全体の6割以上が家族葬を行っていた。中には、はっきりと家族葬と断定できないものもあったが、「近親者のみ」の表現があったものは、家族葬でカウントした。
ちなみに107件の内、上場企業の社長や役員のお悔やみは52件だったが、こういった方々はどちらかというと一般葬を選んでいるケースが多かった。具体的には家族葬が30件で約58%、前述した全体よりも少し低い比率となっている。
これは喪主は親族であるが、連絡先が会社の総務等で企業側の事情が優先しているからかもしれない。
著名人の場合、家族葬とは別に関係者に対するお別れ会を別途行うケースが多かった
一方、テレビ等のメディアで幅広く活躍されているような方々は55件に対して家族葬は37件、約67%だった。企業で活躍されていた方々よりも家族葬の比率は大きくなる。
ちなみにこのような音楽、スポーツ、演劇といった全国的に知名度が高い方々は、ほとんどが家族葬を行った後、お別れの会を行うという流れが定着している。そしてそのようなお別れの会は長年のファンが多く見送ることが想定されているため、所属事務所が中心となって取り仕切っているようだ。
著名人の場合、家族葬でなければ遺族がゆっくりとお別れができないのかもしれない
著名人の場合、家庭での私人としての生活と、社会的に認知された公人としての2つの顔があるため、家族葬を行わなければ近親者が故人と落ち着いた別れができないだろう。
何故なら一般参列を認めると、式場の周辺を埋め尽くすように故人を偲ぶ参列者が溢れ、近親者がゆっくりと故人を送れない状況が想定されるからだ。
生前に支えてくれた人々への情報提供が避けられない現代では、家族葬は故人が「自分」を送ってもらうためには不可欠な儀式となりつつあるのかもしれない。