ガーナといえばチョコレート、チョコレートといえばガーナ。もちろん有名なチョコレートの商品名の話ではない。ガーナはアフリカに存在する国の名前だ。商品名にされてしまうほど多くのカカオ豆を生産している国で、その生産量は世界第二位だ。
だが、この国はカカオ豆だけが有名なわけではない。
芸術の対象として見られているガーナの棺
ガーナの首都アクラが存在するグレーター・アクラ州、そこに住むガー族には変わった文化がある。それが現代アート感溢れるデザイン棺桶だ。
故人が養鶏業を営んでいたならばにわとりの棺、漁師ならば海産物、中にはカメラマンならカメラといった具合である。また、希望があればその通りの棺桶を作るケースもあるようだ。
生前の職業や希望を反映したその奇抜なデザインの棺桶は我々の常識からは考えられないほどにユニークで、まるでおもちゃか何かのように感じられてしまう。
歌と踊りに溢れた派手な葬式
さらに、彼らの葬式は歌に踊りと実に派手だ。まさにお祭り騒ぎ――いや、事実彼らにとってはお祭りなのだ。棺桶を担ぐ男達は曲に合わせて楽しそうに踊る。それも町ぐるみでだ。もしかすると、CMにも採用されたことがあるのでご存知の読者もいるかもしれない。
その準備と葬式は故人の死後数週間に渡って行われる。日本では故人が亡くなってから葬式まではほんの数日で行われることを考えると期間の長さが段違いである。その間、遺体は冷凍保存されるようだ。
日本では考えられないガーナの葬儀慣習
日本の常識からはふざけているように見えるかもしれない。葬式とは喪服で参列し、重々しい空気の中、厳粛に、荘厳に行われるものである。カラフルな服装で参列するような者がいればとんでもない常識はずれと見做されること間違いなしだ。
だが、彼らにとって死とは肉体から解放されることである。それを喜び、盛大に送り出すための会が葬式なのだ。音楽を奏で、歌を歌い、曲に合わせて踊り、大いに笑う。葬式とは死者の為を思って行う解放の儀式であり、当然故人を思って行われるものだ。
我々にとっての葬式とは死者との別れを悼むものである。その目的はやはり死者を見送ることにあり、その点は我々も彼らも変わらない。ガーナの葬式は一見ふざけているように見えるが、当然大真面目だ。
私個人としては、もし死後も意識が残っていて親族達の姿を見ることができたなら、泣きながら悲しそうに別れを告げる姿よりも、別れの悲しさを感じてもそれを乗り越えようと笑って見送ってくれる姿のほうを見たい。
ガーナのこのユニークな葬式も悪くないのではと思えてきたが、皆さんはどうだろうか?