相続税の節税について、ネット上や書籍により様々な情報が得られる。一般的には生前贈与や生命保険料控除、養子縁組によるものだ。これらの節税対策に共通するのは、相続前に行うものであることだ。
では、相続後においても一定の効果がある節税対策があるのだろうか。ご安心召され。しっかりあるのだ。今回は、相続後の節税対策について綴ってみたい。
土地の評価替えによる節税!
最初に断っておくが、相続後の節税対策とはいっても、土地等の不動産に絡むもののみなので、土地等が相続財産に含まれていない場合には無意味となるので、注意されたい。
まずはポイントとなるのが、土地等(土地並びに借地権といった土地の上に存する権利を含む)の分割による土地等の評価変えだ。
ここで土地等の評価について、簡単な説明をしよう。話は前後するが、生前贈与の際、相続財産の土地に賃貸マンションやアパートを建築し、賃貸する地主が多い。理由は、相続税法の規定により土地等を賃貸用建物の敷地として利用すれば、最大で20%の土地等の評価引き下げが可能となるからだ。つまり、単純に考えれば相続税額が20%程度(厳密にはここまでいかない)減少する節税効果がある。
また、貸付用小規模宅地の評価引き下げについても同様の効果が期待できる。規定により条件が様々で、詳細は解説できないが、税理士に相談してみると良いだろう。
専門家と相談し、それぞれにあった節税対策を!
話しは戻って、相続後においての土地等についてだが、土地等の評価というものは、当該土地等が宅地か農地か山林といった利用区分ごと、取得した土地等ごとに評価されるものだ。
相続時において、広大な土地等を相続人全員で共有した状態で相続するよりも、宅地なら宅地だけ、農地なら農地だけのように利用区分ごとに細かく分割して相続した方が、土地等の評価額が引き下げられる可能性がある。
一括して土地等を相続するよりも、分割してから相続した方が有利になるということだ。この規定により、土地等の評価額が引き下げられれば、相続税そのものも減額になる。ただし、決して強引な方法で分割してはならない。なぜなら場合によっては相続税の回避と見做される可能性があるためだ。
また、相続税法の特例として、相続税の申告期限内に分割する等の一定の要件を満たせば、特例の適用が認められ、更に有利になる場合がある。非常に細かい規定があり、条件のハードルも高い。充分な効果が期待できるかどうか、更に、条件を満たせるかどうかは、人それぞれであろう。税理士と良く相談し、法の範囲内において自分達にとって最も有利な選択をすれば、効果の高い相続税の節税対策となるであろう。