ニュースや新聞などで、多くの人が一度は「終活」という単語を見聞きしたことがあるはずだ。
この言葉は「人生の終わりのための活動」を略した造語だ。
この言葉が使われ出したのは2009年頃である。2010年に新語・流行語大賞にノミネートされ、2012年には新語・流行語大賞トップテンに選出されたことから、いかに急速に広まった言葉であるか分かるだろう。
2011年3月11日に発生した東日本大震災も、その要因のひとつと考えられている。
終活に関連したイベントや団体が増加!
最近では、「終活フェスタ」といった、終活に関する理解を深めるための参加型イベントが、東京・大阪・札幌といった大都市で開催されている。
2013年に初めて開催されてから今までに8回開かれ、昨年の9月に東京で行われた最新のイベントでは、葬儀会社はもちろんのこと、証券会社や新聞社など30もの企業ブースが集まった。
また、終活カウンセラーという職業が生まれ、そのための検定試験が行われるようになったり、終活普及協会といった団体ができたりしている。
就活カフェなどを利用して墓友づくりが活発化!
終活に関連する新たに生まれた言葉・概念のひとつとして、「墓友」が挙げられる。
近年の少子化の影響で、代々引き継いできた家の墓ではなく、ロッカー式の納骨堂や共同墓に入る人が増えてきた。このように同じ墓に入る人たちが、生前に交流を深めるのが「墓友づくり」である。
またその過程で、人生の終わりに向けた準備の相談などができる「終活カフェ」なども開かれている。
高齢者の一人暮らしが増加するなか、同じように共同墓に入ることを選択する、似たような価値観の友達を作ることは、高齢者の人生をより楽しいものにする効果もある。
少子化が墓友づくり活発化の一つの原因に
私の祖父母の世代は4人を越える兄弟姉妹のいる家庭が多かったと聞く。
実際、私の祖父は7人兄弟、祖母は6人兄弟だったらしい。対して、私の父母や同世代の人たちのなかでは、ほとんどが一人っ子や二人兄弟、多くても三人兄弟といった印象だ。
国立社会保障・人口問題研究所が2011年に発表した「第14回出生動向基本調査」によると、夫婦の最終的な出生子ども数とみなされる「完結出生児数」は1.96人。1940年に行われた同調査の第1回のときには、完結出生児数は4.27人であったというから、少子化は顕著だ。
求められるお墓の再定義
かつては親族の墓の近くに住んでいた私の家族も、祖父母の世代で地元を離れた。両親も兄弟は少なく、親族関係もあまり広くはない。
私の次の世代、その次の世代ともなるとますます墓による血の繋がりは薄れていくだろう。
そうした傾向のなかで、共同墓地を選ぶ人、そして墓友の存在を求める人は多くなっていくはずだ。
今後ますます、「終活」や「墓友」は広く知られていくことになるだろう。