お葬式に関して、法的に様々な手続きをしなくてはいけませんが、その中で重要かつ頭の痛いものが相続だと思います。
相続並びに相続税については書籍やネット等の媒体で詳細な解説がなされています。
亡くなってから4ヶ月以内に行わなければならない準確定申告
今回は、相続において意外と見落としがちな手続きを中心に筆者の税理士事務所勤務時に経験した事象を綴りたいと思います。なお、相続等の詳細な解説は、当コラムでは行いませんのでご了承下さい。
さて、ここからが本題です。例えばご家族の何方かが亡くなったとします。その方がサラリーマンで収入が給与のみだった場合には特に問題はありません。しかし、他に収入(家賃等)が有った場合には、所得税の準確定申告をしなくてはなりません。
申告期限は亡くなった日の翌日から4ヵ月以内となっています。更に、サラリーマンでなくとも、年金受給や株式配当等の収入が有った方も同様に所得税の準確定申告をしなくてはなりません。
申告を忘れると、延滞税や重加算税が課されることになる
ご家族が亡くなって精神的に動転したり、悲しんでいるご遺族を沢山見て、筆者も貰い泣きすることもかつてありましたが、税務署にとっては関係ありません。申告期限は決まっておりますので、いかなる理由があろうとも原則的には待ってはくれないのです。
しかし、ご遺族の方には準確定申告を失念しているか、そもそも知らないという方が結構居ました。見落として申告期限までに申告を済ませておかないと、延滞税や重加算税が課せられてしまいます。
亡くなった方が生前、高額納税者であった場合には、延滞税等が高額になってしまい、ご遺族の負担が増加してしまいます。
筆者は、事前にご家族に説明し、問題の発生を回避するよう努めていましたが、何回かは申告期限ギリギリに申告を済ませた例もありました。ご遺族が悲観に暮れていて、なかなか言い出せなかったからです。その所為で上司に叱られたこともありました。今となっては、良い思い出ですね。サラリーマンに限らず給与以外の所得がある方が亡くなった場合には、ご遺族の方々は必ず所得税の準確定申告手続きを行って下さい。
ある要件を満たせば、申告期限が延長可能に…
なお余談ですが、申告期限について原則的には待ってくれないと上述しました。
しかし、例外的に申告期限を延長して貰える状況もあります。例えば大地震のような天災によって大きな被害を受けてしまい、申告期限までに申告できない場合です。
この場合には、所得税申告期限の延長申請書を税務署に提出すれば、申告期限の延長を認めて貰えます。
ただ、このような状況になることは、あまり考えられないので、あくまでも特例であるとご理解下さい。申告期限内に申告すればなんら問題はありませんので、申告期限内に申告し、所得税を納付することになります。