最初に、わたしは表題に関する業者の回し者でもなんでもないことをお断りしておく。「ロッカー式」はなんだかみすぼらしく良い名前ではないと思う。多分にこの名前で、良いイメージが定着していないのではなかろうか。本コラムでは、わたしのいわば実体験に基づいて、このロッカー式納骨堂の長所を述べてみたいと思う。
実は最大のメリットは「室内」であること!
まずなんといっても室内であることが最大のメリットではなかろうか。
お彼岸などで郊外の大きな墓地へお花や水やなにやらを手にして、家族一緒に墓参りをする「ベタな光景」がどうしても必要なかたは別として、この寒さ暑さや晴雨にかかわらず楽にお参りできることはありがたい。
お住職さんのお言葉ではないが、いつでも帰ってくることができる。
ゆったりしたスペースも嬉しい!
そして意外にも、お参りのスペースもゆったりしている。
想像したよりも、お墓も大きく立派である。室内だから汚れることもなく清潔だ。そして隣のお墓とは、当然仕切りがあり半分個室であることがうれしい。つまり遠慮なく故人に語り掛けることができるわけだ。また、人目をはばからずに独り号泣することもできる。
私自身、兄弟もなく、父も母とはわたしが小学校にはいるまえに離縁をしており、その後親ひとり子ひとりの生活を続けてきた。相談相手としての父親の役割は非常に大きかった。だから、この個室での亡き父親との無言の対話は、これからもわたしの大事なプライベートな儀式になるだろう。
良心的であることも嬉しい!
今年の2月に72歳で亡くなった父親の葬儀をこのロッカー式納骨堂を管理しているお寺さんで通夜から告別式・四十九日の納骨までをおこなった。
約10数年前に父親が盲腸の手術で入院した際に、募集が始まったばかりの東京のど真ん中にあるこのロッカー式納骨堂を購入した。
当時は、まだ珍しかった時代で、多少違和感があったが、販売のパンフレットを一読したときには、価格帯もいわゆる従来のお墓とは違い良心的であったこともあり、「これからはこの墓だな」と直感したことを覚えている。また立地が非常によく交通の便がよいことも理由の一つだった。
それ以来、同じような形式のお墓の募集が盛んになり、わが意を得た思いがしたものだ。当然異論はあろうかとおもうが、結局、故人との触れ合いをどのように考えるかで、ここらは違ってくるのだろう。故人との濃密な時間を望む方にはおすすめだ。