華道家がプロデュースしたというあでやかな棺桶を、つい最近、ニュースで見ました。広島にある国内大手棺桶メーカーのもので、布張り棺桶の「布に美しい花々を描いているものです。
棺じたいがまるで晴れ着をまとっているような華やかさで、お別れに来てくださった方々へ、美しくあでやかな印象を残したいと願う方にはうってつけではないかと思いました。棺桶=地味な概念を打ち破る、豪華なプレミアム棺桶です。
ほかにもないかと調べてみたら、都内の会社が、オーダーメイド棺を作っていました。紙を使ったエコロジーな新素材を使用した棺で、花柄だけではなく、様々な柄がプリント可能、棺の形も多少アレンジできるようです。
火葬することを前提とする日本の棺
海外ではかなり個性的な棺もあるようですが、日本は火葬がほとんどですので、棺のサイズと形にしばりがあります。火葬場の炉に入らないと困ってしまうわけですね。そしてまた、燃えない素材が使われているのはNGです。
デザイン等によって多少の違いはあるでしょうが、一般的な棺は長さ180cm×幅48cm×高さ41cm程度を基本として、そこから段々3サイズが大きくなっていきます。Lサイズで長さ190cm、LLサイズで長さ195cmくらいまでは既製品の中で手配できるようですが、届けられた棺がご遺体に対して小さめだった場合は、手足を多少曲げてでも納棺してしまう例があるようです。
「元気なうちに棺に入ると長生きできる」
「元気なうちに棺に入ると長生きできる」という言い伝えがあります。
生前に入棺してみるのも、終活のきっかけとしてはよいかもしれません。「入棺体験会」を催し、エコフィンという環境に配慮した棺を提供するために植林活動を実施している会社もあります。そこでは、思い出の着物で棺を作るなどのプロジェクトも手掛けていて、棺をきっかけに、様々なことを考えていけそうです。
棺を選ぶことで自分の最期を考える1つの切っ掛けになるはずです
死というのは、残酷でむごいものですから、それに立ち向かっていった故人が、残される人々に何かを伝えることができれば、葬儀に参列してくれた方々の心を少しは癒すことにはなるかと思います。
物言えぬ故人からのラストメッセージが消えゆくお棺というのは、潔くてよいと筆者は思います。いずれにしろ、自分で棺選びができれば、死と葬儀に対するイメージは沸いてくるだろうと思いますね。