先日突然、大学の先輩の訃報を受け彼の葬儀に参列してきました。まだ若く、遺されたご家族の悲しみも未だ大きいことから、親類と親しい友人のみの家族葬のような式が営まれることになりました。
香典の代用となるのは「お花」と「お線香」
その際に喪主の方から「香典は不要」と一言言われましたが、お世話になった先輩の葬儀に何も持たずに参列するというのは気が引けます。一体何か香典の代わりとして持っていけるものはあるのでしょうか。
さて、「香典」といっても現在ではもっぱら現金が用いられていますが、本来「香典」という言葉に込められたものとは、「生前お世話になった故人を偲ぶ思い」です。こうした「偲ぶ思い」を現金以外で表現するものとしてよく代用されているのが、「お線香」と「お花」です。
お線香とお花がどうして代わりになるの?
「お線香」に関しては元々「香食(こうじき)」と呼ばれ、供えられた故人にとっては一番のご馳走であると言われていました。一種のお供え物という感覚ではありますが、菓子折りや果物とは一線を画し、更に香りも多岐にわたるため故人をイメージして贈ることで一層の「供養」の気持ちを伝えることができるのではないでしょうか。
続いて「お花」に関して、お線香と同じようにお供え物の基本として重宝されており、お供え物のお花は「仏様の世界を高める」という効果も一説にあります。実際に花を包んで持参するのも良いでしょうが、お花専用のギフト券として香典のかわりに送る形も最近では利用されているようです。ギフト券にすれば、葬儀で使用されて式が終われば廃棄されるようなその場のものではなく、葬儀が終了し幾分落ち着いた頃に故人が好きだった花に替えてお供えできるというメリットがあります。
家族葬=香典不要ではありません!
現金としての香典に代わるものとして「お線香」と「お花」という代替物が最近よく利用されていることをご紹介しました。しかし注意することもあります。まず近年著名人をはじめ多くの方が「家族葬」という形態を利用するようになりましたが、家族葬が小規模なものだからといって必ずしも香典が不要というわけではありません。
葬儀に際しては個々に確認すべきでしょう。もう一点、「香典不要」を変にバツ悪く感じて無理に何かを準備することもよくありません。迷ったらなら、一緒に葬儀に参列する方や、故人のご家族にそれとなく聞いてみて反応を伺ってみるのが無難だと思います。
改めて故人との関係性を見つめ直すいい機会
冒頭でも述べたように、「香典」に含意されている「故人を偲ぶ思い」を表現する方法は現金に限らないという発想が今回の「お線香」と「お花」の原点です。突然の別れというものは我々にひどいショックをもたらしますが、そのような時にこそ、故人との関係を今一度考え整理し、偲ぶ思いをどう伝えようか真剣に悩んでみるいい機会ではないでしょうか。