平成29年(2017年)12月に発表された日本の人口統計によると、出生者数が94万人であり、死亡者数が134万人であった。少子高齢化が進み人口の自然減が40万人となり、人口減少に歯止めがかからない状態となっている。その結果を踏まえ、葬儀に関して新たなビジネスが注目を集めているという。それは、遺体安置ビジネスなのだそうだ。
遺体安置ビジネスが伸びている理由と背景
ここ数年葬儀を執行せず、病院や自宅から直接火葬場へ遺体を運び、火葬した直後に埋葬する所謂直葬が増加傾向にある。この直葬に関連して、病院や自宅に遺体を安置しないで、火葬までの間遺体を一次的に預かるビジネスが遺体安置ビジネスだ。
注目を集める背景は、直葬の増加と火葬場の不足が挙げられる。そして、埋葬法第3条の規定によって、死後24時間を経過しないと火葬できないことも挙げられるだろう。
遺体安置ビジネスが生まれた理由とは
平成28年(2016年)の統計によれば、日本全国にある火葬場は4181ケ所である。平成8年(1996年)では8481ケ所であったので、20年で半減していることになる。しかし、前述のように死亡者が出生者を大きく上回っている現状だと、火葬場がパンク状態に陥っているのは想像に難くない。
実際に火葬場の混雑状況を良く調べてみると、全国平均で死亡後4~5日程度待機させられることが多いように見受けられた。言い換えれば4~5日待たなければ火葬できない程混雑していると言うことだ。
火葬場がこの状況ならば、病院や葬儀場の様な遺体を安置できる場所も相当混雑している状況が見えてくる。その点自宅ではどうなのかというと、4~5日も安置できる状況ではないとか、安置できる場所の確保ができないと言ったような切実な問題もあるのだろう。そこで、遺体を安置できる場所を提供するサービスが生まれたと言うことなのだろう。
遺体安置ビジネスの費用やサービス内容とは
提供されるサービスの内容は多岐に渡っているが、基本的には冷蔵設備のある遺体安置所が設えてありそこに遺体は安置され、24時間遺体との対面が可能であり、遺族若しくは本人が生前指定した火葬場が空き次第遺体を火葬場へ搬送し、火葬後納骨までがコースとして一括されていることが多いようだ。
気になる料金だが、遺体預かりが24時間で1万2千円程度、遺体の火葬場への搬送並びに納骨まで一式で20万円程度とされている。地域や業者によって変わるので、金額は参考程度と考えて欲しい。
死者数が増えれば増えるほどニーズは高まる遺体安置ビジネス
各世代のうち団塊の世代が最も人口比率が多いと言われている。当該世代が多く亡くなることが予想されるのは2030年以降であるとされ、今後も遺体安置ビジネスは増加していくのだろう。人口が減少し、葬儀の概念が大きく変わりつつある状況を鑑みると、とても他人事ではないと考える。筆者も最近は葬儀よりも直葬や散骨を考慮しており、今後も情報収集を始め真剣に取り組んでいきたいと考えている。