仏壇が家にある家庭は、どれくらいあるだろうか。統計によると、現在仏壇を置いている家庭は、約4割に満たないとの報告もある。しかし、約7割の人は、仏壇に手を合わせる習慣を持っているという調査結果もある。保有率は減少しているものの、仏壇は、日本人にとっては、まだ欠かすことのできない重要なものであることには変わりはないようだ。仏壇の歴史、そして仏壇の今に迫る。
仏壇が広まったのは江戸時代以降
約1300年前ほど前、天武天皇が礼拝供養の勅令を出したのがきっかけだと言われており、法隆寺にある「玉虫厨子」は日本の仏壇の起点である。だがその当時は、貴族や役人などごく一部の人だけが祀られており、一般庶民への広まりはなかった。鎌倉時代には、中国儒教の祭具である位牌が日本に入ってき、全国的に、庶民にも仏壇が広まったのは、江戸時代からと言われている。
洋室にぴったりの仏壇も登場
仏壇には、伝統型仏壇と家具調仏壇の二種類がある。伝統型仏壇は伝統的な形式で作られており、全体は黒の漆塗りで、内部に金箔が貼ってある金仏壇、銘木(黒檀・紫檀)の美しい木目を生かした唐木仏壇とに分かれている。家具調仏壇は、日本の住宅に合うように設計された、家具のようなすっきりとしたデザインのものである。
近年では、マンションの家庭が増え、和室のない部屋もあることから、コンパクトでデザイン性に優れた仏壇が登場しているようだ。仏壇メーカーから発売されているものとして、A4仏壇という名の本棚に収まるサイズのもの、重さ約4キロで壁に掛けられるもの、そして仏壇メーカーと家具屋でコラボしたものまで、様々である。仏壇購入時の割合としては、家具調仏壇を購入する家庭の割合が、6~7割との調査報告もある。
仏壇の役割とは
仏壇は、自分の心を映す鏡ではないだろうか。毎朝水を替え、仏壇に手を合わせる。その時、ご先祖様たちへの感謝と昨日無事に一日が終わったこと、そして今日という日を迎えられたことへの感謝の気持ちを込めて、一瞬でも無心になれる。そんな時間をもつことは、ご先祖様に守られているような不思議な気持ちになるものだ。大人だけでなく、子供にとっても、毎朝毎晩、ご先祖様に感謝の気持ちを込めて手を合わせる習慣をつけるのは、心の教育のためにも必要なものではないだろうか。家族形態や住宅事情の変化など、仏壇を置く機会が減ってきた日本だが、今ここでもう一度、仏壇の在り方を考えてみるのはいかがだろうか。