相続には、一次相続と二次相続がある。二次相続のことを法的には相次相続とも言う。
簡単に説明すると、高齢のご夫婦が居たと仮定し、ご主人が亡くなった場合の相続を一次相続と言う。更に、数年から10年以内に配偶者が亡くなった場合の相続を二次相続と言う。逆に配偶者が先に亡くなった場合も同様に一次相続となり、後にご主人が亡くなった場合には、二次相続となる。
何れにせよ相続財産があれば、相続税は課税されてしまう。
一次相続と二次相続では適用される制度が異なる
二次相続であれば、相次相続控除の規定の適用を受けることが出来るが、一次相続並びに二次相続をリンクさせた節税対策を練らないと、大きな負担を強いられることとなる。
今回は、老齢なご夫婦とその家族について、一次相続並びに二次相続の節税対策を綴ってみたい。
一次相続の場合、配偶者控除や小規模宅地等の特例を適用できる。しかし、二次相続の場合だと適用を受けることができる特例は、基礎控除と前述の相次相続控除くらいで、殆ど無いのが実情だ。
だからと言って、一次相続のみで節税対策を練ると、二次相続では多額の相続税を納付しなければならなくなる。故にトータルでの節税対策が必要となる。対策法としては、相続人の人数、相続財産の額等によって変わってくる。主なものを挙げてみる。
財産の有無とその多寡、更には相続人の数が重要
最初は一次相続において、配偶者自身に財産が有った場合と無い場合だ。配偶者に財産がある場合だと、他の相続人(子供達)に相続財産の全額か殆どを相続させた方が有利になる。理由は相続財産の金額にもよるが、配偶者に財産があれば一次相続の配偶者控除の適用を受けるよりも、他の相続人(子供達)に相続財産を相続させ、二次相続そのものを無くしてしまうか、基礎控除の範囲内に収めてしまえば、トータルでの相続税額を減額できる。
次に、配偶者に財産が無い場合だ。この場合は、法定相続分を以って相続人達で相続した方が有利となる。理由は基礎控除額にある。相続人の人数に比例して基礎控除額が増加するので、一次相続と二次相続の相続人の判定を踏まえ、総合的な判断が必要となってくるが、詳細は専門家と相談して欲しい。
まとめ
最後にポイントを整理してみる。
・それぞれの相続において、相続財産がなるべく少なくなるように配慮する。
・相続人の人数が多い場合は、一次相続の時点で配偶者ではなく、子供達に多くの相続財産を相続させ、二次相続自体を無くすようにする。
・相続財産にアパート等の賃貸用不動産がある場合、小規模宅地等の特例の適用を考慮しつつ一次相続の時点で、全て子供達に相続させる。
以上となるが、このポイントはあくまで目安として考えて欲しい。状況に応じて変化してしまうので、専門家に判断を仰ぎ、時間を掛けて対策を練っていくことを勧める。