葬儀社に就職した友人から、故人の遺影肖像画作成の依頼をされたことがある。
なんでもその会社のサービスの一つとして、葬儀の斎場入り口に故人の大きな遺影肖像画を飾るというものがあるという。
急ではあったが、一応元美大生の端くれであった私は久しぶりに鉛筆を削り、友人から預かった見知らぬ故人の写真を元に画用紙に大きな似顔絵を描いて納品した。
遺影肖像画や生演奏など、多様化する葬儀
それから数年後。祖父の葬儀に参列した時に、斎場の入り口に大きな祖父の遺影肖像画が飾られているのに遭遇した。実際に目にするのは初めてだったが、元気だった頃の祖父の笑顔とその時流れていた時間が自然と思い起こされるもので、すばらしいサービスだなと感心した。
葬儀に際してのサービスが多様化しているという話は聞いていたが、父の葬儀の時には、音楽が好きだったことを打ち合わせで話すと、葬儀社の担当者がプロの演奏家の生演奏をしてはどうかと提案してもらえた。どうやらその葬儀社が用意しているサービスの一つであったようだ。
家族全員がそれに賛成し、当日斎場に行ってみるとフルートとキーボードの奏者が来ており、弔問客が集まり出した頃から葬儀が始まるまで、そして葬儀の終わりに、父が好きだった曲を2人で何曲か演奏して下さった。曲は楽譜さえあれば何でもいいとのことだったが、打ち合わせの翌日であったにもかかわらず見事な演奏を聞かせていただいたことに感嘆と感謝が溢れた。
葬儀社オリジナルなサービスが有るかどうかも判断基準の一つ
遺影肖像画や生演奏など、葬儀社の多くがこのようなサービスを行っているかどうかを調べたことがある。しかし、一部の葬儀社のみが、ご家族の為にという思いのもとで導入しているようだった。
葬儀社を選ぶ際に、葬儀費用は大きな判断基準の一つであるが、それとはまた別に、その葬儀社独特のサービスがあるかどうかも一つの基準になるのかもしれない。