私の知人がALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断され、入院してから4年目の夏がこようとしています。
ALSは脳や末梢神経から命令を筋肉に伝える運動ニューロン(運動神経細胞)が侵される病気で難病中の難病といわれています。
この病気は進行が早く、発症後3~5年で呼吸障害が生じ、人口呼吸器を使用しなければ通常5年以内で死亡することが多いというデーターもあります。
原因はよくわかっておらず、これという治療法も見つかっていません。
ちなみに現在日本では9000人弱の患者さんがいると考えられています。
著名人では毛沢東、スティーヴン・ホーキングや日本人では篠沢秀夫さん、徳洲会の徳田虎雄さんなどが、この病と闘っています。
病気になって初めて何が大切なのかに気づく
私自身、知人がこの病にかかるまでALSの事は全く知りませんでした。
ある時、偶然にも仕事場で別のALSの患者さんに出会うことがありました。
彼は大きな会社の社長さんで、とても紳士的な方で「誰にも話していないけど」と前置きしてから次のような話をしてくれました。
「僕は病気になって初めて何が大切なのか気づいた・・・。」
今まではビジネスが成功することが一番重要だと思っていました。
人様より大きな家に住み、車も数台持ち、財産も築いてきた。
今となっては何の意味もない・・・。
逆に重要だと思っていたことが、今では家族の争いのもとになっている。
人は皆、どこの大学をでたとか、どの企業に勤めているとか、どれだけ収入があるのかとか、そんなことばかり気にするけど、一番大切なのは「幸せなのか」っていうこと・・・。
大切だと気付かされた家族から見送ってもらうことが本当の幸せかもしれません
あの世では、自分がこの世で得たものは持っていけない。
この世の中に残るものは、自分が他人に与えた形のないものだけだと・・・。
どんな形であれ誰しもが、ひとりの例外もなく命に期限があります。遅かれ、早かれ、次の場所に行きます。
次の場所にいくための葬儀に大金をかけて、豪華な祭壇、たくさん花、多くの参列者が故人にとって本当に「幸せ」なことなのか・・・?
いろいろな人の価値観、死生観があると思いますが、ひっそりかもしれないけど「家族」と本当に親しい友人、知人に見送ってもらうことが「こころある」葬儀、家族葬かもしれません・・・。